前回はABOATというブランドのUSB Type-Cケーブルを紹介しました。
今回は同じABOATの「リバーシブル・マイクロUSBケーブル」の紹介です。
今回使用しているABOATのリバーシブルmicroUSBケーブル 3本セットはABOAT社よりレビュー用に提供していただきました。
AmazonではこのリバーシブルmicroUSBケーブル 3本セットは2017/01/20時点で799円で販売しています。
リバーシブル・マイクロUSBケーブルとは
マイクロUSBを含むUSBケーブルの弱点はケーブルとコネクタの上下がある点です。USBケーブルを挿そうと思って上下を間違えて挿入できなかったことでイライラしたことは誰しもあると思います。
この問題は上下がないUSB Type-Cに移行すれば解決するのですが、手持ちの機器が全てUSB Type-Cに移行するまではしばらくこのイライラに付き合う必要があります。
しかし既存の機器でもこのイライラ問題の解消にチャレンジしたのが「リバーシブル・マイクロUSBケーブル」です。
リバーシブル・マイクロUSBケーブルは上下どちらの向きでもさせるようにプラグの形状を工夫しています。
ホスト側のプラグは一般的には次のような形状をしています。
下半分が樹脂で埋まっていることがわかると思います。パソコン側のコネクタ(レセプタクル)は電極を支持する突起が上半分にありますので、プラグを上下逆にするとプラグの樹脂とレセプタクルの電極がぶつかり、ささらないようになっています。
一方で、リバーシブルケーブルのホスト側のコネクタは次のような形状をしています。
標準のケーブルと異なり下半分は樹脂で埋まっていません。中央に薄い仕切があるだけです。そしてこの仕切の上下に電極がついており、上下をひっくり返しても使用することができるのです。
図解にするとおそらく次のような感じになるのだと思います。
1~4は通信・充電に使用する端子です。実際にはこんなに厚くありませんがわかりやすくしています。
- VBUS (+5 V)
- Data-
- Data+
- Ground
リバーシブルケーブルではこのように電極を配置すれば上下どちら向きにしてもノーマルタイプと同じ配列になり正しく通信できることになります。
ここで問題なのはリバーシブルの形状で正しくパソコン側のコネクタ(レセプタクル)にささるのかということです。
実はリバーシブルケーブルの場合、中央の仕切りの厚さが問題になります。実は、USBの規格上はレセプタクルの中央に電極きます。このためノーマルのプラグで樹脂の厚さをプラグの半分にしてそこに電極を作れば差し込むことができます。
一方、リバーシブルの場合は、中央に仕切がありこれが0.5mmぐらいの厚さを持っています。したがってリバーシブルのケーブルのプラグをレセプタクルに挿入しようとすると、中央の仕切りがレセプタクルの電極と電極の支持基板にぶつかってしまうのです。
わかりにくいですが図にすると下記のような感じです。
これを解決するためにだと思いますが、リバーシブルケーブルのプラグの仕切りは若干動くように作られています。中央の仕切りがレセプタクル内の構造物にぶつかったとしても、中央の仕切がずれて挿すことができます。ただ、その分ちょっと強度に不安が残ります。
一方、マイクロUSBケーブルのデバイス側のコネクタは一般的には次のような形状をしています。
コネクタ自体は台形をしていますがその中に長方形のスペースがあります。このスペースにデバイス側のコネクタ(レセプタクル)の端子が入り込み通信に必要な端子同士を接続することができます。
一方、リバーシブルケーブルのデバイス側のコネクタは次の様な形状をしています。
ひと目で見てわかるようにコネクタの形状が台形ではなく六角形になっています。そして長方形のスペースは2倍に広がりその中央に仕切が設けられています。
こちらも図にすると次のような感じです。
リバーシブルコネクタはは六角形にしているため、上下をひっくり返してもノーマルコネクタにささることがわかります。
なお1~4の端子については上記と同じです。
また、リバーシブルの中央の仕切りが若干動くのも同じとなっています。
ABOATのリバーシブル・マイクロUSBケーブル
リバーシブル・マイクロUSBケーブルは数社から発売されておりますが、今回はABOATというブランドの製品をレビューさせてもらうことになりました。
ABOATのリバーシブルケーブルはAmazonで取り扱っており、3本セット(0.5m・1m・2m)が799円で販売しています。
中国のブランドのようですが在庫・発送はアマゾンですので注文して2日で到着しました。
商品はケーブルですがちゃんと化粧箱に入っています。パッケージは下記のような感じです。
実はパッケージデザインはUSB Type-Cケーブルと全く同じで、違いはサイズだけでした。
ケーブルは3本セットです。左から2m・1m・50cmです。
このリバーシブルケーブルにはおまけとしてABOATのロゴが入った巾着袋がついてきます。サイズは10cm角ぐらいです。
ちょうど今回のケーブルが収まるサイズです。今回のケーブルを3本入れるとこんな感じです。
ケーブルは持ち運び時に困ったりするのでこれは嬉しいおまけです。また、ケーブルでなくてもマウスなどの持ち運びにも利用できるでしょう。
ケーブルはmicroUSB側のプラグにはABOATの文字が入っています。
反対画のコネクタにはABOATのロゴが入っています。
ケーブルの太さは3mm強で、しっかりした感じです。
使ってみる
それではこのリバーシブル・マイクロUSBケーブルを使ってみたいと思います。
ケーブルとして気になるのは、「リバーシブル」の使い勝手、それと、充電時に流れる電流です。
リバーシブルの使い勝手
リバーシブル・ケーブルの使い勝手ということで気になるのはケーブルの抜き差しです。
試したところ、パソコン側・スマホ側のいずれも表裏両方向で挿すことができました(あたりまえですが)。もちろん、どちらの方向で刺しても充電やデータ通信はできます。
実はスマホ側(マイクロUSB側)は最初ちょっと差しにくかったので焦ったのですが、一回差し込んだあとはあとは普通のマイクロUSBケーブルと同じ感覚で抜き差しできるようになりました。
そしてこのリバーシブルですが・・・やっぱり便利です。
私は寝るときはスマホを充電した状態で枕元においているのですが、電気を消している状態ではスマホにケーブル挿すのが大変でした。しかしリバーシブルケーブルにしてから場所だけ合わせれば良いのでかなり簡単になりました。
これだけでもこのケーブルを入手してよかったと思えます。
私のように暗い状況でケーブルの差し込みがある方や、パソコンの裏など見にくいところでのケーブルの抜き差しがある方は、このリバーシブル・マイクロUSBケーブルを入手することでかなり楽になると思います。
充電機能
抜き差しができても充電機能に問題があっては使えません。マイクロUSBケーブルは品質にばらつきがあるせいか、充電時間にかなり差が出ることが知られています。
そこでABOATのリバーシブル・マイクロUSBケーブルを使ってスマホ・タブレットを充電し、その時の電流を調べてみたいと思います。流れる電流が大きければ充電時間が短縮されます。また比較のために手持ちのケーブルも使ってみたいと思います。
電流の測定には下記のUSB電源チェッカーを使用します。
その他の機材は下記のとおりです。
- マイクロUSBケーブル
- ABOATのリバーシブルケーブル 50cm
- ABOATのリバーシブルケーブル 1m
- ABOATのリバーシブルケーブル 2m
- 何かのタブレットに付属していたケーブル 50cm
- 100円ショップの高速充電ケーブル 50cm
- Tronsmart WC2Fのケーブル 1m
- Tronsmart WC2Fのケーブル 2m
- 電源 (USB ACアダプタ)
- Tronsmart WC2F (定格出力 5V/2.4A)
- Redmi Note 4付属 (定格出力 5V/2A)
- Chuwi Hi8 Pro付属 (定格出力 5V/2A)
- 充電対象機器
- スマホ: Xiaomi Redmi Note 4
- タブレット: Teclast X98 Plus II
ここにでてくるTronsmart WC2F・Xiaomi Remi Note 4・Chuwi Hi8・Teclast X98 Plus IIについては下記を参照してください。
また100円ショップの急速充電ケーブルと言うのは下記の製品です。セリアで購入しました。
測定結果
全部で7×3×2の42パターンの計測をすることになります。
わかりやすくするために充電対象機器ごとに表にします。
Xiaomi Redmi Note 4への充電
まずはRedmi Note 4への充電です。Redmi Note 4は電源が入っている状態としています。
その結果が下記になります。
電源 | ||||
---|---|---|---|---|
↓ケーブル↓ | ↓長さ↓ | Tronsmart WC2F |
Redmi Note 4 付属 |
Chuwi Hi8 Pro 付属 |
ABOAT | 50cm | 1.31A | 1.56A | 1.34A |
1m | 1.29A | 1.43A | 1.20A | |
2m | 0.96A | 0.94A | 0.95A | |
100円ショップ | 50cm | 1.61A | 1.80A | 1.26A |
タブレット 付属 |
50cm | 1.29A | 1.61A | 1.28A |
Tronsmart WC2F 付属 |
1m | 1.48A | 1.46A | 1.17A |
2m | 1.29A | 1.05A | 0.99A |
まずABOATのリバーシブルケーブルですが、ケーブルが長くなると流れる電流が少なくなってしまっています。
電気抵抗は長さに比例して大きくなるので、これは納得できる傾向です。早く充電したいのならば必要最小限の長さのケーブルを使うのが一番です。
続いて同じ長さのケーブル同士の比較です。
50cmでは、ABOATのリバーシブルケーブル、100円ショップの高速充電ケーブル、タブレット付属のケーブルの3つがあります。この3つを比較すると、100円ショップの高速充電ケーブルの優秀さが光ります。
一方、ABOATのリバーシブルケーブルとタブレット付属のケーブルはほぼ同じでした。実は私が所有していたケーブルの中ではこの50cmのタブレット付属のケーブルは結構成績が良いケーブルです。したがってABOATのリバーシブルケーブルも決して悪いわけではありません。むしろリバーシブルという付加価値がついていながら電流が小さくなっていない点を評価したいです。
1mではABOATのリバーシブルとTronsmart WC2F付属のケーブルとの比較になります。
この2つはほぼ同じ電流が流れるようですが、充電器にTronsmart WC2Fを使ったときだけTronsmart WC2Fのケーブルの電流のほうが明らかに大きくなりました。
最後に2mではABOATのリバーシブルとTronsmart WC2F付属のケーブルとの比較です。
この比較では1mのときと同じ傾向です。ABOATのリバーシブルケーブルとTronsmat WC2F付属のケーブルはほぼ同じ給電能力だが、電源にTronsmart WC2Fを使用した場合のみTronsmart WC2F付属のケーブルのほうが成績が良いということにあります。
Tronsmart WC2Fは付属のケーブルだと成績が良いので、この電源にはケーブルを認識する機能があるのかもしれません。
Teclast X98 Plus IIへの充電
続いてTeclast X98 Plus IIへの充電です。Teclast X98 Plus IIはWindowsモードで電源が入っている状態としています。
その結果が下記になります。
電源 | ||||
---|---|---|---|---|
↓ケーブル↓ | ↓長さ↓ | Tronsmart WC2F |
Redmi Note 4 付属 |
Chuwi Hi8 Pro 付属 |
ABOAT | 50cm | 1.58A | 1.75A | 1.61A |
1m | 1.58A | 1.74A | 1.56A | |
2m | 1.34A | 1.53A | 1.48A | |
100円ショップ | 50cm | 1.82A | 1.97A | 1.80A |
タブレット付属 | 50cm | 1.83A | 1.83A | 1.79A |
Tronsmart WC2F付属 |
1m | 1.77A | 1.89A | 1.82A |
2m | 1.46A | 1.56A | 1.55A |
結果をざっと見るとRedmi Note 4を充電したときと似たような感じです。
異なるのはTronsmart WC2FとTronsmart WC2F付属ケーブルの組み合わせでの好成績がなくなり、他のケーブルの組み合わせとほぼ同じ傾向となったところです。
また、50cmについては100円ショップの高速充電ケーブルの構成世紀が相変わらずですが、タブレット付属のケーブルも好成績を見せており、若干ABOATのリバーシブルケーブルが見劣りしている感じです。
まとめ
今回はABOATのリバーシブルケーブル・マイクロUSBケーブルを紹介しました。
ケーブルのプラグの形状を工夫することで、パソコン側もスマホ側もいずれも表裏関係なくケーブルを装着することができ、暗いところなどでのケーブルの抜き差しが劇的に楽になります。また充電能力も問題ないようです。
私としてはリバーシブルの50cmケーブルをモバイルバッテリとセットにし、1mケーブルは枕元での充電に使用しようと思っています。
次回はABOAT三部作としてUSB Type-Cアダプタを紹介したいと思います。
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