NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その14: 2.5GbE化にチャレンジする 前編

ネットワーク
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前回はPLANEXの2.5GBASET-T対応スイッチングハブを購入したことを紹介しました。

今回はこのスイッチングハブを有効活用するためにNAS(Synology DS220j)の2.5GBASE-T化にチャレンジしてみたいと思います。

前編の今回はDS220jで2.5Gb USB Ethernetアダプタを使えるようにするまでを紹介します。次回の後編ではパフォーマンスの変化を紹介する予定です。。

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使用しているNASと2.5GbE化

私はNASとしてSynologyのDiskStation DS220jというモデルを利用しています。

Synology NASキット 2ベイ DS220j
この記事作成時点では実売価格は28,000円前後

2ベイに対応したNASで、Synologyの中ではエントリー向けの製品です。

現在ではDS23jという後継モデルが発売されています。

Synology NASキット 2ベイ DS223j
この記事作成時点では実売価格は28,000円前後

このブログでもいろいろと紹介してきました。

NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その1: 購入!
今回は自宅のネットワーク環境を改善するためにSynologyのNAS DiskStation DS220jを購入したことを紹介します。拡張性を考えるとドライブベイが多い方が良いのですが、ディスクの入れ替えで容量拡張もできますし、値段の落ち着いている2ドライブベイの製品を購入するのもありだと思います。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その2: セットアップ
今回はSynologyのNASキットDiskStation DS220jをセットアップしてみます。NASの利用は初めてでしたが、HDDを装着したあとにブラウザで接続すれば、あとは画面に従って簡単にセットアップすることができます。ただデフォルトではDHCPになってしまうので、固定IPにするなどの調整は必要かもしれません。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その3: ベンチマーク
今回はSynology DiskStation DS220jでベンチマークを実行してみます。CrystalDiskMarkを使ってネットワークドライブに割り当てたDS220jのリード・ライト速度を確認してみたところ、ほぼ1000Mbps Ethernetの上限に達していました。DiskStation DS220jのCPUやRAMは十分の余裕がある状態で、通常の利用であればDS220j自体がボトルネックになることはなさそうです。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その4: DSM 7.0ベータを試す
今回はSynology DiskStation DS220jのDiskStation Manager(DSM)をベータ版である7.0にアップデートします。ベータ版ということですがアップデート作業は簡単です。私の場合は導入しているパッケージがほとんどないせいか、アップデート中のトラブルも有りませんでした。リスクはありますが最新機能を試してみたい方は挑戦してみると良いかもしれません。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その5: Synology Photosを試す
今回はSynologyのDiskStationで利用できるSynology Photosを導入してみます。Synology Photosを利用するためにはDiskStationにDSM 7.0を導入する必要があります。これまではPhoto StationとMomentsに分かれていましたが、Synology Photosではこれ1つで個人用の写真と他のユーザと共有する写真を一元管理することができます。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その6: Synology Photosの画面
今回はSynologyのDiskStationで利用可能になる予定のSynology Photosについてざっと紹介します。短時間しか使っていないので機能を試したわけではありませんが、Synology Photosの雰囲気は伝わるのではないかと思います。Google Photosほど写真の分析機能はありませんが、「容量制限がない家庭内のGoogle Photo」的にはつかるのではないかと思います。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その7: Synology Photosのスマホアプリを使う
今回はSynologyのNASをDSM 7.0に更新すると利用できるようになるSynology Photos用のスマホアプリを紹介します。Androidで試してみたところアプリの操作は直感的にできそうな感じでした。しかし、DiskStationで大量の画像を格納していると、Synology Photoアプリを使った瞬間にDiskStation DS220jが重くなり操作不能になってしまいました。正式リリースまでに是非改善して欲しいところです。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その8: USB HDDを使う
今回はSynology DiskStation DS220jに外付けUSB HDDを接続したことを紹介します。DiskStation DS220jにはUSB 3.0ポートが2個ついているのでここにUSB HDDを接続するだけで利用できるようになります。

USB HDDをDiskStationでフルに使いたい場合はEXT4ファイルシステムでフォーマットし直した方が良さそうです。

NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その9: Time Machineを使う
今回はDiskStation DS220jに接続したUSB HDDをMacのTime Machineの保存先として利用する方法を紹介します。USB HDDを利用できれば容量的には余裕がありますし、DiskStationを保存先とすれば、いちいちMacにUSB HDDを接続することなくTime Machineが利用できます。なかなかオススメの使い方と思います。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その10: DLNAを使う
今回はSynologyのDiskStation DS220jでメディアサーバー機能を有効にしてみます。メディアサーバーを有効にすること自体はかなり簡単ですが、表示したい写真が高解像度の場合は設定の変更が必要でした。ただ、このメディアサーバ機能を有効に利用するにはプレーヤー側の能力が重要かもしれません。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その11: リモートからSFTPでアクセスする
今回は自宅に設置したSynologyのDiskStation DS220jに外部からアクセスする方法を紹介します。VPNやSynologyのQuickConnectを使うのが定番ですが、今回はセキュリティを考えて公開鍵認証をが使えるSFTPで実現してみました。私の場合はインターネット接続にtransixを使っているためポート開放ができず、IPv6を使って外部から接続する必要がありました。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その12: しばらく使った感想
今回はSynologyのDiskStation DS220jをしばらく使った感想を紹介します。DiskStation DS220jはエントリークラスの製品ですがNASとしての性能は問題なく、よく作り込まれているため使い勝手も上々です。ただ、いろいろ機能を追加すると処理が重くなるので、シンプルにファイルサーバとして使うのがオススメです。
NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その13: Gitサーバにする
今回はSynologyのNASをGitサーバにして、Visual Studio Codeから利用してみます。VS CodeでSSHを利用したgit接続は、公開鍵認証が前提(?)のため、最初の設定はなかなか大変です。しかし、設定さえ終えれば簡単にGitを利用することができます。ただ、リモートレポジトリを作るためには、NASの管理者権限アカウントでSSH接続してコマンドを打つ必要があるのは少々面倒かもしれません。

今のところこのNASで特に不都合もないのですが、たまたまSynologyのNASを2.GbE化できるという記事を見つけました。

Synology NASをUSB有線LANアダプターで2.5GbE化(前編)|プラネックス
現在使用中のNASを少しでも高速化したい……と思ったときに役に立つのが、2.5GbE対応のUSB有線 LANアダプター「USB-LAN2500R」です。お使いのNASの機種によっては、USB 3.0ポートにUSB有線 LANアダプターを接続することで高速化できる可能性があります。

もちろん非公式ですし、すべてのSynologyのNASでうまくいくわけではないようです。

しかし、DS220jにもUSB 3.0のポートはありますし、せっかくなので試してみたいところです。

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2.5Gb対応のUSB Ethernetアダプタを入手する

SynologyのNASを2.5GbE化するために必要なのは2.5Gb対応のUSB Ethernetアダプタです。

Synology用のドライバを配布しているサイトはによると、Realtekの「RTL8152/RTL8153/RTL8156」のチップを採用したUSB Ethernetアダプタである必要があります。

そしてこれらのチップを搭載して日本で入手性が高い製品として下記の製品が挙げられています。

これらの製品を買うのが無難ではあるのですが、それではネタになりません。

そこで海外通販のAliExpressRTL8156搭載と思われるものを購入してみることにしました。

見つけたのはこの製品です。製品説明に「Chipset:Realtek RTL8156」と書かれているのでチップとしては大丈夫そうです。

2.5G USB Ethernet Adapter USB3.0
この記事作成時点で約1500円

購入時の価格は約1400円でした。

パッケージはかなりシンプルです。

USB Ethernetアダプタ

ただ製品自体はちゃんとしていそうです。

Windows 11のPCに接続したところ問題なく認識され、2.5GBASE-Tのスイッチングハブと2.5Gbpsでリンクしました。

Windows11での認識状態

デバイスマネージャで詳細情報を表示させてみると、プロダクトIDは「8156」でした。

デバイスの詳細

RealTek RTL8156のチップを利用していることは間違いないようです。

Synology DS220jの2.5GbE化

機材が揃ったのでSynology DS220jの2.5GbE化に挑戦したいと思います。

事前準備: 情報収集

使用しているDS220jのOS (DSM)とCPUを確認します。

DSMのバージョンはWebブラウザでNASに接続し、管理者アカウントでログインして、「コントロールパネル」→「情報センター」を開きます。

情報センター

これで

  • OS: DSM 7.2
  • CPU: Realtek RTD1296

であることがわかります。

事前準備: ドライバの入手

ドライバはGithubで公開されています。

Releases · bb-qq/r8152
Synology DSM driver for Realtek RTL8152/RTL8153/RTL8156 based adapters - bb-qq/r8152

「Latest」のラベルが付いているバージョン(この記事作成時では2.17.1-1)の「Assets」からファイルをダウンロードします。

CPUが「Realtek RTD1296」、OSが「DSM 7.2」なので「r8152-rtd1296-2.17.1-1_7.2.spk」というファイルを入手しましょう。

ダウンロードするファイル

Assetsの中にこのファイルが見つからない場合は「Show all 51 assets」を選択して全ファイルを表示させてみてください。

ドライバのインストール

のちほどDS220jのターミナルで操作する必要があるので、DS220jのSSHを有効にしておきます。

これにはDS220jのコントロールパネルで「端末とSNMP」を選び「SSHサービスを有効化する」をチェックして「適用」を選択します。

SSHの有効化

SSHのポート番号は任意の数値で構いませんが、後ほど使うので覚えておきます。

次にダウンロードしたドライバをインストールします。

これにはDS220jのパッケージセンターを開き、上の方にある「手動インストール」を選択します。

手動インストール

これでパッケージのアップロード画面が表示されるので先ほどダウンロードしたドライバファイルを指定します。

パッケージのアップロード

次へを選択するとインストールを介しますが、5秒ほどして次のような警告が表示されます。

パッケージに対する警告

ここは「同意する」で先に進みます。

次のような画面が表示されたら「完了」を選択します。

インストールの開始

しかし、次のようにインストールに失敗したと表示されます。

インストールの失敗

これは想定通りですので「OK」を選択して一旦完了させます。

ここでDS220jにSSHで接続します。

Windowsであればコマンドプロンプトを起動して

ssh -l ユーザ名 NASのIPアドレス-p SSHのポート番号

と入力します。

このとき

Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])? 

と聞かれたら「yes」と入力します。

次に指定したユーザのパスワードを入力すると接続できるはずです。

DS220jにSSH接続したら次のコマンドをコピペして実行します。

sudo install -m 4755 -o root -D /var/packages/r8152/target/r8152/spk_su /opt/sbin/spk_su

パスワードを聞かれると思いますので、再びSSHで指定したユーザのパスワードを入力します。

このコマンドの入力に成功したらSSH接続は終了しても大丈夫です。

再びブラウザのNASの画面に戻り、同じ手順でパッケージを手動インストールします。今度はインストールの失敗という画面は出ないはずです。

パッケージセンターにインストールしたドライバが「インストール完了」として表示されていればOKです。

インストール完了

ここまできたら念の為、DS220jを再起動させておきましょう。

DS220jが再起動したら再びパッケージセンターを開き、「RTL8152/RTL8153 driver」を「実行」しておきます。

インストールしたドライバの実行

パッケージを選択して「実行中」となっていればOKです。

実行中

2.5Gb USB Ethernetアダプタの接続と設定

DS220jには背面にUSB 3.0ポートが2つあります。その一つに2.5Gb USB Ethernetアダプタを接続しましょう。

次にDSMのコントロールパネルでネットワークを選択し、【ネットワーク インタフェース」を見ると「LAN」が追加されているはずです。

追加されたネットワークインタフェース

これが2.5Gb USB Ethernetアダプタです。まだEthenerケーブルを繋げていないので、IPアドレスがおかしなものになっていますが、これで無事に認識されていることが確認できます。

2.5Gb USB Ethernetアダプタとスイッチングハブを接続するとアイコンが青色に変わってリンクアップしたことがわかります。

リンクアップ後のネットワークインタフェース

また、詳細を見ると2500Mbps(2.5Gb)でリンクしていることもわかります。

なおDS220jにSSHで接続、「lsusb」コマンドを実行するとUSBの接続状態がわかります。

$ lsusb
|__usb2          1d6b:0002:0404 09  2.00  480MBit/s 0mA 1IF  (Linux 4.4.302+ xhci-hcd xHCI Host Controller xhci-hcd.2.auto) hub
|__usb3          1d6b:0003:0404 09  3.00 5000MBit/s 0mA 1IF  (Linux 4.4.302+ xhci-hcd xHCI Host Controller xhci-hcd.2.auto) hub
  |__3-1         0bda:8156:3104 00  3.20 5000MBit/s 256mA 1IF  (Realtek USB 10/100/1G/2.5G LAN 0000000000)
|__usb4          1d6b:0002:0404 09  2.00  480MBit/s 0mA 1IF  (Linux 4.4.302+ xhci-hcd xHCI Host Controller xhci-hcd.5.auto) hub
|__usb5          1d6b:0003:0404 09  3.00 5000MBit/s 0mA 1IF  (Linux 4.4.302+ xhci-hcd xHCI Host Controller xhci-hcd.5.auto) hub

「Realtek USB 10/10/1G/2.5G LAN」の接続速度が「5000MBit/s」となっており、USB 3.0で2.5Gb USB Ethernetアダプタが認識されていることがわかります。

デフォルトではネットワークの設定がDHCPとなっていますが、必要に応じて固定IPなどに変更しましょう。

これでひとまず2.5GbE化は完了です。

2.5G USB Ethernet Adapter USB3.0
この記事作成時点で約1500円
Synology NASキット 2ベイ DS223j
この記事作成時点では実売価格は28,000円前後

まとめ

今回はSynologyのNASであるDiskStation 220jに2.5Gb USB Ethernetアダプタを接続して利用できるようにしてみました。

非公式のドライバをインストールしたり、SSHで接続してコマンドを入力する必要があったりと、やや面倒ですが、天順通りにやれば2.5Gb化は実現できるはずです。

これで安定的に利用できれば嬉しいのですが、速度や安定性は次回の記事で確認したいと思います。

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