アメリカでプリペイドSIMを使う その2: スマートフォン選び(Android編)

ニューヨーク証券取引所 アメリカ
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前回はアメリカ(本土)のプリペイドSIMカード事情について紹介しました。

調べたところ、アメリカで全国規模でサービスを展開している携帯電話会社には、AT&T・T-Mobile・Verizon・Sprintの4社があり、3G(WCDMA)の利用性を考えるとAT&TとT-Mobileが選択肢になることを紹介しました。

しかし、悩みどころはアメリカの携帯電話事情(周波数)が他国と全然違う点です。

そこで今回はアメリカで使えるAndroidスマートフォンについて検討したいと思います。

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スマートフォン選びの基準

アメリカ専用のスマホを現地で買うのが一番確実なのですが、今回は「日本とアメリカの両方で使えるスマホを日本で調達する」ということで考えたいと思います。

次に考えるのは、3Gについてです。3Gを必要とするかどうかでスマートフォンの選択肢が変わってきます(携帯電話会社の選択も変わってきます)。そもそもVerizonとSprintが3Gに採用しているCDMA2000が利用できるSIMフリーのスマホを日本で購入するのはなかなか難しいものがあります。

各社のカバレッジマップ(サービスエリア)を見るとLTEもかなり広い範囲で利用できるようになっているようです。特にニューヨークやサンフランシスコのような大都市ならば3GがなくてもLTEで高速データ通信ができると考えてよさそうです。

AT&T Maps - Wireless Coverage Map for Voice and Data Coverage from AT&T
4G LTE & 5G Coverage Map - Cell Phone Coverage | T-Mobile
Use T-Mobile's 4G LTE & 5G Coverage Map to check availability in your service area. Do more on your device with America’s largest & fastest 5G network.
403 unauthorized
Sprint-Welcome

今回は3Gの対応状況も調べてみましたが、都市部を訪問する方は3Gの対応状況については無視してもよいかもしれません。

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表の見方について

以下で紹介する表は縦にバンド(周波数)をならべ、横にはまず米国のキャリア(A: AT&T, T: T-Mobile, V: Verizon, S: Sprint)を次に日本のキャリア(D: ドコモ, S: ソフトバンク, K: KDDI)を並べています。それぞれのキャリアがサービスを展開しているバンドに〇がついています。

さらに右にはスマートフォンのモデルが並び、各モデルが対応しているバンドに〇を入れています。「△」あるい「?」は注釈がありますので、表の下の同じ番号の注釈を確認してください。

アメリカのキャリアが使用しているバンドについてはオレンジ色で色づけしてあります。したがって単純に考えるとオレンジついているますに「〇」がついている数が多いほどアメリカで使い勝手がよいということがいえると思います。

現実的には、日本で使用しているキャリアとアメリカで利用しようと思っているキャリアを決めて、その両方で使っているバンドに「〇」が多くついている機種を選ぶとよいでしょう。なお、日本でMVNO(格安SIM)を使われている場合は、MVNOが利用しているネットワーク提供元を確認してください。たとえば、たとえばIIJmioのSIMを利用しているならばドコモをみればOKです。

各端末の対応状況

2015年11月現在で国内で入手可能なSIMフリースマホのうち普段使いにも問題がなさそうな中級以上(3万円~)をピックアップしてみました。

Google Nexus5の北米版については私が個人輸入したのでピックアップしています。

Nexus5で遊ぶ その1: 北米版Nexus5を調達
今回はこれまで使ってきたAQUOS PHONEに変わるSIMフリースマホとしてNexus5を選定し、中国の通販サイトAliExpressで注文します。グローバルで発売しているスマホだと、このように個人輸入も可能なのが魅力です。Refurbish(再生品)とのことですがどのような状態なのかも楽しみなところです。

また、SIMロックを解除することを前提にドコモの2015年夏モデル以降(iPhone./Nexus5Xを除く)も比較に加えています。

上記の各スマホの先頭の文字(「N5X」など)は以降の表中での略称です。

3Gの対応状況 (WCDMA)

まずはWCDMA(UMTS/FOMA)の対応状況です。この通信方式はアメリカだとAT&TとT-Mobileが、日本だとドコモとソフトバンクが採用しています。

ベストはNexusシリーズです。アメリカのAT&TとT-Mobile、日本のドコモにほぼ対応しており、日米の両方で使うには最適です。次点はASUSとHTCの台湾勢です。

ドコモのスマホおよびソニー・富士通・シャープの国内勢ですが、1900MHzのバンド2に対応していないところが痛いです。AT&Tのバンド5についてはドコモのローミング情報では使用できることになっているので、仕様には書かれておりませんが、おそらくできるものと思います。

  • △1: ASUSの仕様では明記されていません。しかしBand6はBand19の一部であるため、完全ではありませんがBand19でも利用できると思われます。
  • △2: 各端末の仕様では明記されていません。ドコモのローミング情報ではAT&Tの3Gが利用できるとなっているため、バンド5が使用できるようです。
  • △3: SONYの使用では明記されていません。しかしBand19はBand6を含むため、Band6としても利用できます。

3Gの対応状況(CDMA2000)

次はCDMA2000の対応状況です。この通信方式はアメリカだとVerizonとSprintが、日本だとKDDIが採用しています。

下記の表を見て分かる通り、日本でCDMA2000に対応した端末を入手するのは大変難しいです。カバレッジマップを見てLTEが使えない地域を訪問する場合は、Nexus6Pか北米版のNexus5を持っていない限り、VerizonとSprintは避けた方がよいでしょう。

バンド 周波数

米国
キャリア

日本
キャリア
Android端末
A T V S D S K N5
X
N6
P
N5
JP
N5
US
AS
Z2
AS
ZL
HU
P8
HT
DE
SO
J1
F
02
SH
02
0 800
1 1900
2 800
3 800
4 1800
5 450
6 2100
7 700
8 1800
9 900
10 800
11 400
12 800
13 2500
14 1900
15 1700

LTEの対応状況

最後にLTEについてです。LTEについてはキャリアごとにちがう方式を使っているようなことはなく周波数(バンド)さえ一致すれば使用することができます。

アメリカでも日本でもLTEのサービスエリアはかなり広がっているので、LTEの対応状況が最も重要です。

アメリカの4キャリアのすべてでLTEに対応しているのはNexus5Xだけという状況です。これはSprintが他社と異なるバンドを利用しているためです。Sprintをキャリアの選択肢から外すと状況が変わってきます。

アメリカでAT&T・T-Mobile・Verizonを使う場合は、バンド2とバンド4がほしいところです。この点を考えると、Nexus5X・Nexus6P・Nexus5(北米版)・ASUS ZenFone2が有利です。次点はASUS ZenFone2 Laser(ZE500KL)です。その他の端末は、AT&Tであればバンド5でLTEが使える可能性があります。HuaweiのP8 liteを正式にバンド8に対応しておりますが、ドコモ向け端末などは正式にはバンド5対応をうたっておりません。しかし、ドコモのローミング情報を見ると、AT&TのLTEが利用できると記載されているので、バンド5も利用できるとみてよさそうです。

アメリカでSprintを使う場合はNexus5XかNexus5(北米版)ですが、3G(CDMA2000)のことを考えるとNexus5(北米版)の一択になります。

バンド 周波数

米国
キャリア

日本
キャリア
Android端末
A T V S D S K N5
X
N6
P
N5
JP
N5
US
AS
Z2
AS
ZL
HU
P8
HT
DE
SO
J1
F
02
SH
02
1 2100
2 1900
3 1800
4 1700
5 850 △4 △4 △4 △4 △4
6 800
7 2600
8 900 ?5
9 1700
10 1700
11 1500
12 700
13 700
14 700
17 700
18 800
19 800
20 800
21 1500 △6
22 3500
23 2000
24 1600
25 1900
26 850
27 850
28 700 △7
29 700
30 2300
31 450
32 1500
33 TDD
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
  • △4: 各端末の仕様では明記されていません。ドコモのローミング情報ではAT&TのLTEが利用できるとなっているため、バンド5が使用できるようです。
  • ?5: 富士通のM02の使用ではLTE 900MHzに対応していると記載されていますが、バンドは不明です。
  • △6: 対応しているのはAQUOS ZETA SH-01H, Xperia Z5 SO-01H, Xperia Z5 Compact SO-02H, Disney Mobile on docomo DM-01G, ARROWS NX F-04G, AQUOS ZETA SH-03G, AQUOS EVER SH-04G, Xperia Z4 SO-03G, Xperia A4 SO-04G, AQUOS PAD SH-05G, Xperia Z4 Tablet SO-05G。
  • △7: 対応しているのはXperia Z5 SO-01H, Xperia Z5 Compact SO-02H, ARROWS NX F-04G, AQUOS ZETA SH-03G, Xperia Z4 SO-03G,  Xperia Z4 Tablet SO-05G。

おすすめの端末とキャリア

予算もあり2~3年日米でガッツリ使える端末を購入する機会であるのであれば、Nexus5XかNexus6Pがお勧めです。選択するキャリアはAT&TかT-Mobileです。もし3Gが不要なのであればVerizonもありです。

もう少し予算を抑えたい方はZenFone2(ZE551ML)がお勧めです。発売されてから時間がたっていることもあり、メモリ2GBモデルならば3万円近くまで下がるようです。なお、ネット通販ではZenFone2の並行輸入品買えますが、同じZenFone2でも本来の発売地域によってサポートしているバンドがかなり違います。特に中国向けのZenFone2はLTEではバンド1と3しか使えません。注意してください。ZenFone2の場合は3Gのバンド4が使えないので、キャリアはAT&Tがよいでしょう。

ドコモ向けのスマホ(SIMフリーを含む)で国際LTEローミング対応の機種をお持ちでそのままアメリカで使いたい場合は、キャリアはからならずAT&Tを使用してください。もちろん、ドコモブランドのスマホは渡米前にSIMロックを解除するのを忘れないようにしましょう。

まとめ

今回はアメリカで使用できるAndroidスマートフォンの調査を行ってみました。

アメリカの携帯電話会社は世界的に見て少し珍しい周波数(バンド)を使っていますので、国内で売られているスマホを持ち込んで3GやLTEを使いたい場合は注意が必要です。できれば、NexusシリーズやZenFone2などの対応周波数が多いスマホを入手してから行くとよいでしょう。

次回はアメリカにiPhoneを持ち込んだときの状況を調べてみたいと思います。

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