前回は充電対応OTG USBハブ HWMT1を紹介しましたが、今回はEzbook Airの続きとなります。
ちなみに前回のEzbook Airネタは下記になります。
今回使用しているJumper Ezbook Airは通販サイトのGearBestから提供していただきました。
Jumper Ezbook Airの販売は既に終了しており、いまは再生品(Refurbished)が流通しているのみのようです。
JumperのノートPCのコンパクトな製品といえば現時点では11.6インチのJumper EZbook X1になるようです。EZbook X1はGeekBuyingで269.99ドル(2019/03/02時点)で販売しています。
GeekBuyingで購入にトライしようと思う方は下記サイトを参照してみてください。
またJumperの製品はクーポン対象になりやすいので、クーポンをチェックすることをおすすめします。
テスト環境
今回は通信速度の測定にiperf3というツールを使いました。
ネットワークの状況としてはLinux PC・Windows10 PC・Ezbook AirをWi-Fiアクセスポイントを介して接続しています。Linux PCとWindows10 PCは有線接続(Gigabit Ethernet)です。
さらに比較対象対象として中華WindowsタブレットTeclast X98 Plus IIもWi-Fiで接続しています。
図にすると次のようになります。
Wi-Fiアクセスポイントは少し前のモデルAterm WG600HPを使っています。
したがって、Wi-Fiは5GHzと2.4GHzの両方の周波数は使えるものの、スピードは最高で802.11nの300MHzとなります。
Ezbook Airは802.11acに対応しているのですが、802.11acが使えないのが残念なところです。
Ezbook Airを5GHzで接続した場合の様子が下記になります。
2.4GHz接続の場合は下記です。
測定
測定はLinux PCでiperf3をサーバとして動かし、Windows10 PC・Ezbook Air・Teclast X98 Plus IIでiperf3をクライアントで動かします。
Ezbook Airについては5GHzと2.4GHzの両方で測定することにします。
測定の際にはクライアント側では次のオプションを使いました。
-fm -R -c サーバのIPアドレス
「-R」を指定しているので、データの流れはサーバからクライアントになります。したがって受信の速度を測ることになります。
ノートパソコンやタブレットではデータを受信するケースがほとんどなので、受信速度のほうが重要かと思います。
距離 1mでのスピード
まずはアクセスポイントのすぐ近く(1m程度)の場所で測定してみました。有線のWindows10 PCには距離は関係ありませんが参考値として測定結果を載せておきます。
測定結果は次の通りです。単位はMbpsです。
機材 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 | 最高 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Ezbook Air (5GHz) |
112.0 | 111.0 | 111.0 | 110.0 | 109.0 | 110.6 | 112.0 |
Ezbook Air (2.4GHz) |
94.1 | 97.6 | 96.9 | 98.9 | 98.9 | 97.3 | 98.9 |
Teclast X98 Plus II (2.4GHz) |
55.9 | 57.6 | 48.7 | 37.3 | 46.3 | 49.2 | 57.6 |
有線(参考) | 909 | 873 | 900 | 871 | 884 | 887.4 | 909 |
測定結果を見るとEzbook Airのほうが明らかに早いことがわかりました。
同じ2.4GHzで比較してもEzook AirはTeclast X98 Plus IIの2倍近いスピードが出ています。
Ezbook AirとTeclast X98 Plus IIのハードウェアスペックを比較するとCPUはほぼ同じです。Ezbook AirがAtom x5-Z8350、Teclast X98 Plus IIがAtom x5-Z8300と若干Ezbook Airのほうが良いですが、これでスピードが2倍も差が出るとは思えません。
となると違いはWi-Fiチップ、あるいは、アンテナ感度です。1mという距離だとアンテナ感度はさほど影響しないと考えると、Wi-Fiチップによる速度の違いと考えてよいでしょう。
ちなみにWi-Fiチップは、Ezbook AirがIntel AC3160 (PCI Express接続)、Teclast X98 Plus IIがReltek RTL8723BS (SDIO接続)です。
距離5mでのスピード
条件を変えてアクセスポイントから距離を離して測定してみました。
アクセスポイントと各クライアントの距離を約5mと離してみました。また、アクセスポイントとクライアントの間には扉が3枚程入っています。
家庭内で別の部屋にアクセスポイントを使っている状況と思っていただければよいと思います。
結果は次の通りです。単位はMbpsです。
機材 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 (1mとの比較) |
最高 (1mとの比較) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Ezbook Air (5GHz) |
92.8 | 104.0 | 94.8 | 98.0 | 97.0 | 97.3 (88.0%) |
104.0 (92.9%) |
Ezbook Air (2.4GHz) |
60.6 | 42.7 | 56.8 | 55.0 | 52.0 | 53.4 (54.9%) |
60.6 (61.3%) |
Teclast X98 Plus II (2.4GHz) |
19.1 | 25.3 | 21.4 | 19.9 | 21.8 | 21.5 (43.7%) |
25.3 (43.9%) |
平均と最高の欄には1mで測定したときとの比較(1mでの速度を100%としたときの5mの速度)です。
2.4GHzでは5mまで離れると通信速度は40%程度低下しますが、5GHzでは10%程度の低下に抑えられています。
このことから二部屋以上ある方は5GHz対応のアクセスポイントを導入することを強くお勧めします。私は802.11n対応のアクセスポイントですが、今ならば802.11ac対応のアクセスポイントが安くなっているのでおすすめです。
なお、Teclast X98 Plus IIにいたっては50%以上低下しています。これはTeclast X98 Plus IIのアンテナ設計がいまいちなのだと思います。
以前同じテストを別の2.4GHz対応機器で測定した場合は20~40%の低下でした。
Bluetoothの干渉
Ezbook AirではマウスにBluetoothを使用することになるので、BluetoothとWi-Fiを同時に使った場合のWi-Fiの通信速度を測定して見ました。と言ってもBluetoothマウスをぐりぐり動かしながら、iperf3でWi-Fiの通信速度を測定しただけです。
アクセスポイントの距離は約1mです。
機材 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 (BTなしとの比較) |
最高 (BTなしとの比較) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Ezbook Air (5GHz) |
109.0 | 111.0 | 112.0 | 112.0 | 112.0 | 111.2 100% |
112.0 100% |
Ezbook Air (2.4GHz) |
86.1 | 85.2 | 86.6 | 83.5 | 85.8 | 85.4 87.8% |
86.6 87.6% |
Teclast X98 Plus II (2.4GHz) |
33.7 | 35.7 | 32.4 | 34.3 | 32.7 | 33.8 68.6% |
35.7 62.0% |
平均と最高の欄には1mでBluetoothオフで測定したときとの比較です。
この結果を見ると5GHzのWi-Fiを利用しているときにはBluetoothの影響を全くうけていないことがわかります。このことからも5GHz対応のアクセスポイントを使うことが重要なことがわかります。
また、2.4GHzで比較すると、Teclast X98 Plus IIではBluetoothの干渉によりWi-Fiの速度が30%以上低下していましたが、Ezbook Airの場合は15%程度の低下にとどまっています。
このことから見てもEzbook Airのアンテナ設計が、Teclast X98 Plus IIより優れていることがわかります。
というより実際はTeclast X98 Plus IIがいまいちなのだと思います。Teclast X98 Plus IIではWi-Fi通信中はマウスポインタの動きがとびとびになったり、追従性が悪くなったりします。しかし、Ezbook AirではWi-Fi通信中でも問題なくBluetoothマウスを使用することができます。
残念ながらJumper EZbook Airの販売は終了してしまいました。
現在はGearBestで再生品(Refurbished)を取り扱っています。
JumperのコンパクトのノートPCとしてはJumper EZbook X1があります。
まとめ
今回は中華ノートPCのEzbook AirのWi-Fi性能を調査しました。
Ezbook Airは格安製品にも関わらずWi-Fiは5GHzと2.4GHzのデュアルバンドに対応しており、5GHz帯を利用することで快適にWi-Fiを使用することができることがわかりました。
次回はEzbook Airをしばらく使った感想を紹介したいと思います。
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