今回はGaNを採用したUSBチャージャーの紹介です。
GaN (窒化ガリウム)
GaNとは窒化ガリウムの化学式です。
窒化ガリウムはエネルギー効率に優れた半導体とされ、近年は充電器などの電力制御を行う半導体に活用されています。
GaNをUSBチャージャーに活用すると、同じサイズならば高出力に、同じ出力なら小型にすることができ、近年採用が増えています。
最近はノートPCなどのデバイスもUSB PD (USB Power Delivery)に対応しており、USBチャージャーで充電・給電できるようになってきます。
ノートPCの充電には45Wや65Wなどの高出力のUSBチャージャーが必要になりますが、GaN採用のUSBチャージャーであれば小さいなサイズになることが期待できます。
細かいことは置いておいて「高出力で小型のUSBチャージャーを探すなら【GaN】がキーワード」と考えておけばOKと思います。
GaN採用USBチャージャーを探す
GaN採用のUSBチャージャーを購入するにはいくつか決めておいた方が良いことがあります。
- 最大出力
- ポート数
- 据え置き用か、持ち運び用か
最大出力は30W/45W/65W/100W/120Wあたりが標準的なようです。出力が大きければUSBチャージャーも大きくなりますが、消費電力が大きなデバイスに給電できますし、複数の機器に同時に給電することもできるようになります。
ポート数は多ければUSBチャージャーのサイズが大きくなりますし、少なければサイズは小さくなります。USBスタンダードAポートがあると充電できるデイバスが増えますが、こちらもサイズに影響します。
据え置き用はUSBチャージャーからケーブルが伸びていてコンセントに接続する形になります。一方、持ち運び用はコンパクトさを重視するため直接コンセントに挿入する形態です。プラグが折りたためた方が携帯には便利です。
また据え置き用の方がサイズに余裕があるケースがおおいので、高出力・多ポートの製品の選択肢が増えます。持ち運び用はサイズを重視しているので出力が小さかったり、ポート数が少なかったりします。
自分が使いたいシーンを考えてこれら決めておきましょう。
私の場合は据え置き用のUSB PD対応USBチャージャーは2つ持っています。100W対応のものと18W対応のものです。
一方、持ち運び用には30W対応のものを所有しています。
そこで今回は「最大出力65W~100W」「少なくてもUSB Type-Cを1ポート、スタンダードAを1ポート」「持ち運び用」で探すことにしました。
最近ではUSB PD対応デイバイスが増えてきたのでUSB Type-Cは2ポートあった方が良いかもしれません。
Amazon等で検索するとこの条件だと次のような製品が見つかります。
65Wだと人気のAnkerはやや高く7500円程度で、他のブランドでも5000円近くします。出力が100Wまで上がると1万円を超える出費です。
Toocki 67W GaN USB Charger (P067AK11A2C0)
出費を抑えたいとなると登場するのが海外通販のAliExpressです。
「USB charger GaN」などのキーワードで見つけたのが下記の製品です。
AliExpressは全世界を対象に販売しているので、日本のコンセントにささらないプラグの製品も取り扱っています。
購入する際は「USプラグ」となっている製品を探しましょう。アメリカのコンセントは日本と同じ平形です。
私が購入した2023年9月では11.63ドルで、ポイントを使って9.61ドルで購入しました。日本円だと1400~1500円というところだと思います。
海外通販というと配送が心配ですがこの製品は注文から1週間程度で到着しました。なかなか順調な配送でした。
パッケージはこんな感じです。今回は白色を購入しました。
パッケージの背面にはスペックなどの情報が中国語と英語で書かれています。
英語の方を転記すると次のようになります。
項目 | 内容 |
---|---|
Brand | Toocki |
Name | 67W GaN Travel Charger |
Model | P067AU01A2C0 |
Material | PC |
Input | 100-240V,50/60Hz,1.5A |
USB-C1 | 5V=3A, 9V=3A,12V=3A, 15V=3A, 20V=3.35A (67W Max.) |
USB-C2 | 5V=3A, 9V=3A,12V=3A, 15V=3A, 20V=3.35A (67W Max.) |
USB-A | 4.5V=5A, 5V=4.5A, 9V=2A 12V=1.5A (22.5W Max.) |
Type-C1+Type-C2 | 45W+20W (65W Max.) |
Type-C1+USB-A | 45W+18W (63W Max.) |
Type-C2+USB-A | 5V=3.6A |
Type-C1+(Type-C2+USB-A) Total | 45W+18W (63W Max.) |
PPS | 3.3-20.3V=3.3A Max. |
Product Size | About 32×37×77mm |
Product Weight | 109g |
最大の67Wと引き出せるのはUSB Type-Cポートのいずれか一方だけを使ったときであることがわかります。
USB Type-CポートとスタンダードAポートを併用すると、USB Type-C1を利用した場合は45Wと18Wの合計63Wが最大となりますが、USB Type-C2の方を利用した場合は合計で18Wとなってしまうようです。
多ポートと併用する場合は、USB Type-Cポートは1の方が大きな電力を引き出しやすいので、こちらを優先して使う方が良さそうです。
USBチャージャーの形状は直方体です。側面にはブランド名のToockiと最大出力の67Wが書かれているだけのシンプルなものです。
コンセントに挿すプラグは折りたたみ式です。
持ち運ぶときにプラグを折りたためば、プラグが引っかからないので収納しやすい形となります。プラグを折りたたんだときには側面から若干ははみ出す形になり、ここに指をかけることで簡単にプラグを立てることができます。
USBケーブルを挿す面はプラグと反対側になります。
充電用のポートはUSB Type-Cが2個、USBスタンダードAが1個になります。
USB-C1とUSB-C2は全く同じに見えますが、上述の通り複数ポートを同時に使う際にはUSB-C1の方が大電力を出力できるようになっています。
重量は109gということでサイズの割には重く感じます。しかしスカスカのUSBチャージャーだとむしろ心配になってしまうので、ほどよい重さという感じです。
取扱説明書は中国語と英語で書かれていますので、英語のページを紹介しておきます。
USBチャージャーと言うことで取扱説明書の内容に目新しい情報はありません。
スペックも取扱説明書に記載されていますが、パッケージの裏面に書かれているのと同じ内容となります。
実際に使ってみる
それでは今回購入したUSBチャージャーで充電してみます。
USBケーブル
USBケーブルにはAliExpressで購入した60W対応を明記するケーブルを利用しました。
ちなみにセールだったので1.79ドル(約270円)で購入できました。2本でこの価格なのでなかなかお買い得だったと思います。
充電対象
充電対象には2台のデバイスを用意しました。
ひとつ目はスマートフォンのPixel 4です。
Pixel 4のスペックはGoogleの記載されています。
このスペックによるとUSB PDに対応しており最大18Wでの急速充電ができる、ということになっています。
ふたつ目はモバイルPCのSurface Pro 7です。
Surface 7 Proのスペックはマイクロソフトのサイトに掲載されていますが、充電に関するスペックはありません。
以前、100W出力を公称するUSBチャージャーを使ったときに40~50Wで充電できた実績があります。
実験結果
実験は単純にUSBチャージャーと充電対象デバイスをUSBケーブルでつなげて充電を行いそのときの電圧・電流をチェックするというものです。
電圧・電流のチェックには下記のUSBチェッカーを利用しました。
まずはPixel 4を充電した結果です。
電圧は8.99V、電流は1.47Aで電力は13.21Wとなります。電流は多少変動し1.5A前後という感じです。
Pixel 4のスペック上限である18W(9V=2A)には到達していませんが、9Vで充電できているのでUSB PDでの動作になっていると思われます。
電流が2Aに到達しないのは、Pixel 4側の事情だと思います。
続いてSurface 7 Proへの充電です。
充電を開始するとすぐに20Vでの充電が開始されました。電流は2A弱なので電力は40W弱となりました。
期待より電力がちょっと小さなと思っていたのですが、徐々に電流が増えていき2.5Aを超えてきました。
写真を撮った中でマックスだったのがこの2.69Aです。このときの電力は53.63Wになります。
このUSBチャージャーの最大出力の67Wには達していませんが、以前にテストした100WのUSBチャージャーを使用したときと同等といえる状況です。
このUSBチャージャーはSurface 7 Proの充電にも十分使えそうです。
まとめ
今回はAliExpressで購入したToockiというブランドのUSBチャージャーを紹介しました。
窒化ガリウム(GaN)を採用していると言うことで小型ながら67Wの出力が可能な製品です。MicrosoftのモバイルPCであるSurface 7 Proに対してもUSB給電ができることを確認しました。
お出かけバッグに一つ入れておくと安心な製品です。
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