前回は中華タブレットTeclast X98 Plus IIにWindows10 Anniversary Updateを適用してみました。
今回はTeclast X98 Plus IIのWi-Fi性能を見てみます。よく「Teclast X98 Plus IIはWi-Fiが弱い」というコメントを見かけるので、本当かどうかを確認してみようというわけです。
今回使用しているTeclast X98 Plus IIは海外通販サイトGearBestから提供していただきました。
私が使用したTeclast X98 Plus IIは販売終了となっています。Teclast社の10インチクラスで高解像度ディスプレイを備えた機種だと、いまはTeclast T10がお勧めです。
Teclast T10はGearBestで209.99ドルで販売しています。
GearBestで購入に挑戦しようという方は下記を参照してみてください。
テスト環境
今回は通信速度の測定にiperf3というツールを使いました。
ネットワークの状況としてはLinux PC・Windows10 PC・Teclast X98 Plus II・Redmi Note 3 Pro・Chuwi Hi8 Proが存在し、Wi-Fiアクセスポイントを介して接続されています。このうち、Linux PCとWindows10は有線接続(Gigabit Ethernet)です。
図にすると次のようになります。
Wi-Fiアクセスポイントは少し前のモデルのAterm WG600HPを使っています。したがってWi-Fiは5GHzと2.4GHzの両方の周波数は使えるものの、スピードは最高で802.11nの300Mbpsとなります(802.11acはサポートしていません)。
測定
測定は、Linuxでiperf3をサーバとして動かし、Windows10 PC・Teclast X98 Plus II・Redmi Note 3 Pro・Chuwi Hi8 Proでiperfをクライアントで動かします。
クライアントがAndroidの場合はMagic iPerfというアプリを利用しました。
測定のためのクライアント側では次のオプションを使いました。
-fm -R -c 192.168.10.1
「-R」を指定しているので、データはサーバからクライアントになりますので、受信の速度を測ることになります。タブレットではデータを受信するケースがほとんどなので測定が参考になると思います。
距離1mでのスピード
まずはアクセスポイントのすぐ近く(1m程度)の場所で測定してみました。有線のWindows10 PCには距離は関係ありませんが参考値として同じグラフに乗せておきます。
Teclast X98 Plus IIについてはWindowsとAndroidの両方で測定しました。また、Redmi Note 3 Proについては5GHzに対応しているので、5GHzと2.4GHzの両方で測定しています。
結果は次の通りです。単位はMbpsです。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 | 最高 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Teclast X98 Plus II (Win) | 55.9 | 57.6 | 48.7 | 37.3 | 46.3 | 49.2 | 57.6 |
Teclast X98 Plus II (Android) | 44.2 | 42.5 | 52.8 | 56.5 | 60.8 | 51.4 | 60.8 |
Redmi Note 3 Pro (5GHz) | 114 | 113 | 113 | 112 | 115 | 113 | 115 |
Redmi Note 3 Pro (2.4GHz) | 47.9 | 47.6 | 48.2 | 47.9 | 48.3 | 48.0 | 48.3 |
Chuwi Hi8 Pro (Win) | 38.5 | 38.1 | 37.7 | 39.0 | 38.6 | 38.4 | 39.0 |
有線(参考) | 909 | 873 | 900 | 871 | 884 | 887 | 909 |
Wi-Fiとしての比較だとはやり5GHzのRedmi Note 3が圧倒的に早いです。
しかし、2.4GHzのWi-Fi同士で比較では意外な(?)ことにTeclast X98 Plus IIがトップに立ちました。
これだけ見ると決してTeclast X98 Plus IIのWi-Fiは遅いとは言えない感じです。
距離5mでのスピード
条件を変えてアクセスポイントから距離を離して測定してみました。
アクセスポイントと各クライアントの距離を約5mと話してみました。また、アクセスポイントとクライアントの間には扉が3枚ほど入っています。
家庭内で別の部屋にあるアクセスポイントを使っている状況と思っていただけばよいと思います。
結果は次の通りです。単位はMbpsです。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 (1mとの比較) | 最高 (1mとの比較) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Teclast X98 Plus II (Win) | 19.2 | 25.3 | 21.4 | 19.9 | 21.8 | 21.5 (44%) | 25.3 (44%) |
Teclast X98 Plus II (Android) | 20.1 | 23.8 | 25.8 | 21.9 | 24.4 | 23.2 (45%) | 25.8 (42%) |
Redmi Note 3 Pro (5GHz) | 106 | 107 | 103 | 105 | 77.3 | 100 (88%) | 107 (93%) |
Redmi Note 3 Pro (2.4GHz) | 27.9 | 25.5 | 24.0 | 32.8 | 31.9 | 28.4 (59%) | 32.8 (68%) |
Chuwi Hi8 Pro (Win) | 29.4 | 27.4 | 30.8 | 32.1 | 32.0 | 30.3 (79%) | 32.1 (82%) |
平均と最高の欄には1mで測定したときの比較(1mの速度を100%としたときの5mの速度)です。
注目していただきたいのはTeclast X98 Plus IIの結果です。1mの時の速度と比べると45%前後まで落ち込んでしまっています。これはRedmi Note 3 Pro(2.4GHz)やChuwi Hi8 Proと比べて落ち込みが一番厳しいです。
どうやらTeclast X98 Plus IIはWi-Fiの感度があまりよくなく、距離が離れると他の製品よりWi-Fiの速度が下がりやすいようです。これがTeclast X98 Plus IIはWi-Fiが弱いといわれる理由のようです。
なお、Redmi Note 3 Proの5GHzは5mまで離してもほとんど通信速度は落ちませんでした。
はやり可能であれば5GHzを中心として使いたいところです。
Bluetoothの干渉
おまけとして距離1mの条件で、Bluetoothマウスを使いながら(マウスをぐりぐり動かしながら)同じ測定をしてみました。OSはWindowsです。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 (1mとの比較) | 最高 (1mとの比較) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Teclast X98 Plus II (Bluetoothマウス利用) |
33.7 | 35.7 | 32.4 | 34.3 | 32.7 | 33.8 (69%) | 35.7 (62%) |
やはりTeclast X98 Plus IIのWi-Fiで利用している2.4GHzはBluetoothと干渉するので通信速度は三分の二程度に下がりました。
実際には測定中にiperf3が停止したこともあったので、それを含めると平均はもっと落ちます。また、測定中(Wi-Fi通信中)はマウスポインタの動きも飛び飛びになったり追従性が悪くなります。
Teclast X98 Plus IIは高解像度のためマウスを使いたくなりますが、Webサイトを見るだけならばBluetoothはオフにした方がよいでしょう。
Teclast X90 Plus IIは既に販売中止となっています。
Teclast社の10インチクラスで高解像度ディスプレイを備えた機種としては、Teclast T10・Teclast T20・Teclast M20があります。
Teclast T20とTeclast M20はLTEに対応しています。
まとめ
今回はTeclast X98 Plus IIのWi-Fi性能を調査してみました。
Teclast X98 Plus IIのWi-Fiは遅いというよりも、感度が悪くアクセスポイントとの距離が離れると通信速度が落ちやすいということがわかりました。中華タブレットも早く5GHzのWi-Fiに対応するようになってほしいものです。
次回は久しぶりに中華スマホRedmi Note 3 Proの話題に戻ります。
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