前回はCANONのミラーレスカメラEOS R10と純正のEF/EF-Sレンズを組み合わせて使ってみました。
今回はサードパーティーのEF/EF-Sレンズを使ってみようと思います。
EOS Rとサードパーティーレンズ
CANONのEOSシリーズに使えるEF/EF-Sマウント用のレンズは様々なメーカーから発売されています。CANON純正以外のレンズをここでは「サードパーティーレンズ」と呼ぶことにします。
EF/EF-S対応の有名なサードパーティーレンズのメーカーとして
- シグマ (SIGMA)
- タムロン (TAMRON)
- トキナー (TOKINA)
等が有名です。中には中国メーカによるレンズ(いわゆる中有カレンズ)も存在します。
サードパーティーレンズが存在するおかげで、純正より安価なレンズや、純正には無いようなレンズを使うことができます。
特にEF/EF-Sマウントに対応したレンズでは、オートフォーカスが使えるレンズが多数で発売されており、あまりカメラに詳しくない人にも使いこなせるサードパーティーレンズが多くあります。
一方、RF/RF-Sマウント用のレンズというと、サードパーティーレンズは壊滅的です。
マニュアルフォーカスのみのレンズなら存在するのですが、オートフォーカスが使えるサードパーティーレンズは壊滅的です。
かつてサムヤン(SAMYANG)がオートフォーカス対応のRFレンズを発売していましたが、「メーカー都合による生産完了」と言うことで現在は入手することができません。
どうも特許か何かの関係で、CANONからライセンス(許可)を取得しないと販売できないようです。
この記事作成時点ではコシナのレンズが唯一のがキヤノンからライセンスを取得したRFマウントのサードパーティーレンズということになります。
ただこのコシナのレンズはボディとの通信に対応しているとは言えMFレンズです。従って現時点ではオートフォーカスに対応したRFマウント対応のサードパーティーレンズはないという状況です。
EOS Rシリーズでサードパーティーレンズを使うにはマウントアダプターを使って、EF/EF-Sマウント用を使うことになります。
所有レンズ
今回はサードパーティーレンズを試すと言うことで、私が所有しているEF/EF-Sマウントのサードパーティーレンズを紹介しておきます。
SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM
1本目はSIGMA(シグマ)のAPS-C用高倍率ズームレンズレンズです。
これ一本で18mmから300mmまで撮影できる超便利なレンズです。光学手ぶれ補正機能を搭載しており、300mmという長距離撮影でも手ぶれを軽減してくれます。
どんな被写体を撮影するかわからないときはこれ一本を持って行けばなんとしてくれますし、300mm(35mm換算で480mm)のズームがあれば運動会などの撮影などにも活躍してくれます。
ただ、残念ながらこのレンズは販売を終了しており、現時点では中古でしか入手できません。
このレンズをEOS R10に装着するとこんな感じになります。
300mmのレンズと言うことでレンズが長く、もはやレンズにカメラがくっついているような感じになります。
このレンズを装着してカメラを持ってみると、重心がレンズ側になってしまう(=トップヘビー)ので注意が必要です。ちゃんと両手でカメラとレンズをホールドして撮影するスタイルとした方が良さそうです。
右手一本で持つ場合はかなりしっかりとEOS R10のグリップを握り込む必要があります。
さらにこのレンズはズームによってレンズ長が変ります。最大限ズームするとレンズは倍以上長くなります。
ここまで来るとかなり迫力があるというか、なかなか目立ちます。
まあ、ここまでの望遠を使って撮影するという状況は、運動会だったりスポーツシーンだったりすると思うので、周囲は気にならないかもしれません。
SIGMAの公式情報によるとこのレンズはEOS Rシリーズと組み合わせて使うことできるとなっています。
ただレンズ光学補正機能を使うにはレンズファームウェアをVer.2.0以降にアップデートする必要があるとのことです。
2018年3月以降に発売となった製品および、レンズファームウェアをVer.2.0以降にアップデートした製品におきましては、カメラ本体のデジタルレンズオプティマイザを[しない]に設定した上で、「レンズ光学補正」機能の「周辺光量補正」、「色収差補正」、「歪曲収差補正」を[する]に設定することで、弊社レンズの光学特性に合わせた補正を行うことができます。
ただし、今回のレンズである「SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporary 」については
カメラのシーンインテリジェントオートモードはご使用になれません。
という注意書きがあります。
SIGMAのサイトを見ると本レンズはVer.2.02のファームウェアがリリースされています。
SIGMAレンズのファームウェアの更新にはUSB Dockが必要になります。
もちろん「キヤノン EF マウント用」を使う必要があります。
中古だと3000円程度から入手できるようなので、SIGMAレンズを使う方はUSB Dockも購入しておくことをお勧めします。
今回はUSB Dockを使ってこのレンズのファームウェアを最新のVer.2.02にしておきました。
EOS R10に装着してみるとレンズとEOS R10はちゃんと通信できているようで、レンズ光学補正のメニューにレンズの名称も表示されます。
周辺光量補正のメニューに入ると「補正データあり」と表示されます。ここで「する」を選択すると、サードパーティーレンズながら周辺光量補正が有効になります。
歪曲収差補正も「補正データあり」となり、「する」を選択することで有効になります。
ただしデジタルレンズオプティマイザは「補正データなし(補正不可)」となります。
レンズ補正を利用するためには、デジタルレンズオプティマイザを「しない」にするようにとSIGMAのサイトには記載されていますが、補正不可なので「しない」にする必要は無いのではないかと思います。
ここでデジタルレンズオプティマイザを「しない」にしてしまうと、デジタルレンズオプティマイザに対応した純正レンズに交換したときにオンにするのを忘れてしまうので注意が必要です。
デジタルレンズオプティマイザは使えないものの、周辺光量補正や歪曲収差補正は純正レンズと同様に行えるのは、シグマレンズの強みと思います。
YONGNUO Canon YN35mm F2
YONGNUO(ヨンヌオ)は中国のカメラ用品メーカーです。日本語のサイトもあります。
この記事作成時点では日本語のサイトからはレンズ製品情報が消えていますが、YONGNUOはキヤノンのEFマウント向けのレンズも発売しています。
YONGNUOのレンズで私が持っているのは「YONGNUO Canon YN35mm F2」というレンズです。
その名前の通り焦点距離35mm(APS-Cで利用すると56mm相当)の単焦点レンズで、YOUNGNOUの売り文句は
F/2 の高速絞りを備えた YONGNUO 高速 EF 35mm 広角レンズは、最低の照明条件でもあらゆる瞬間を確実に捉えます。最短撮影距離25cmなので、近づいても自然な広角感が得られます。手頃な価格で、優れた光学性能と適度に広い焦点距離を必要とするものに最適です。
となっています。
いわゆる中華レンズですが、日本のAmazon等でも取り扱っています。
このレンズはEFマウント用なのでマウントアダプターを介してEOS R10と接続します。
YONGNUO Canon YN35mm F2はプラスチックでできていて質感はチープなのですが、EOS R10に装着するとサイズ的にはぴったりです。ちょうどサイズとしてはCANON純正のEF50mm F1.8 STMと同じぐらいです。
重量も155gと軽量なのでEOS R10に装着したときのバランスも非常に良い感じです。
このレンズはオートフォーカスやEXIF情報記録にも対応していますが、SIGMAのレンズと異なり光学補正には対応していません。
EOS R10のメニューでみるとレンズ光学補正のメニューにレンズ名が表示されません。
周辺光量補正のメニューに入ってもレンズ名は表示されず、「補正データなし (補正不可)」と表示されます。
歪曲収差補正も同様です。
デジタルレンズオプティマイザも同様で補正不可となります。
補正するためのデータが無いので、いずれの補正もONあるいは標準にしておいても何も行われないと思います。
光学補正に対応したレンズに戻したときに忘れそうなので、私はこのレンズを使っているときも光学補正のメニュー設定としては補正を有効にしたままにしています。
撮影してみる
上で紹介した2本のレンズとEOS R10を組み合わせて撮影してみたいと思います。
比較に同じレンズを組み合わせてEOS 80Dでも撮影してみます。
なお、EOS R10もEOS 80Dもレンズの光学補正は有効にしていますが、レンズ側のでデータの関係で実際はとしては次のようになります。
補正 | SIGMA 18-300mm | YUNGNOU 35mm |
---|---|---|
周辺光量補正 | ON | OFF |
歪曲収差補正 | ON | OFF |
デジタルレンズオプティマイザ | OFF | OFF |
詳細は下記のマニュアルを参照してください。
撮影セット
撮影は撮影ボックスに猪の人形を3体おいて行いました。前回の純正EF/EF-Sレンズを使ったときの撮影と同じです。
この撮影セットを正面から低い三脚にカメラを固定して撮影します。
同じレンズの場合はEOS R10とEOS 80Dはほぼ同じ位置で撮影していますが、厳密に同じ位置というわけではありません。撮影位置はレンズによって変化はさせています。
このため簡易的な比較と思ってください。
照明は室内光(シーリングライト)で、フラッシュはオフにしてプログラムAE・評価測光で撮影しています。ISO感度もオートになっています。
細かい操作はせず真ん中のイノシシにピントを合わせる操作だけしてシャッターを切りました。
サードパーティーレンズですがAF・AF等は問題なく動作しました。
撮影したデータのリンク先は6000×4000のJPEGファイルとなっていますが、Webサーバの設定により再圧縮されています。
そのためカメラが生成したJPEGファイル(いわゆる撮って出しのJPEG)とは異なります。画質も劣化しておりますのでご参考程度とお考えください。
SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSMでの撮影
ズームレンズですのでワイド端(18mm)からテレ端(300mm)まで焦点距離を変えながら撮影しました。カメラの位置は固定していたと記憶しています。
焦点距離は、18mm・50mm・100mm(95mm)・200mm・300mmです。100mmではEOS 80Dで正確に合わせることがうまくできなくて、95mmで撮影しました。
ちなみにこのレンズは超音波モーター(HSM)を採用しており、静かに早くオートフォーカスが効きます。
焦点距離 18mm
まずはEOS R10での画像です。
本来なら無加工の画像を出したかったのですが、18mmだと画角が広すぎて撮影セットの周囲の余計なものが大量に映り込んでしまったため、余計な部分はぼかしています。
このときのEXIFデータは次のようになります。
ちゃんとEXIFにレンズ情報が入っていることがわかると思います
一方、EOS 80Dの画像は次のようになります。
このときのEXIFデータは次のようになります。
見た目はEOS 80Dの方がやや明るいですが、これはISO感度を下げてシャッター速度を長くしているからと思います。
中央・右奥・左奥のイノシシをピクセル等倍に拡大してみます。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 | ||
右奥 | ||
左奥 |
あまり差がわかりませんが、EOS 80Dだとイノシシの毛がノイズ除去の影響でディテールを失われているのに対し、EOS R10の方がディテールが残っているように見えます。また映像としてもEOS R10の方がシャープです。
EOS R10のISOは3200、EOS 80DのISOは2000と、ノイズ的にはEOS R10の方が厳しい条件ですが、画像エンジンが新しくなった影響かEOS R10の方が綺麗に撮れるのは驚きです。
焦点距離 50mm
つづいて焦点距離を50mmに変えた場合です。
まずEOS R10による撮影です。
次にEOS 80Dによる撮影です。
見た目はほとんど同じに見えます。
中央・右奥・左奥のイノシシをピクセル等倍に拡大してみます。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 | ||
右奥 | ||
左奥 |
さすがにEOS R10のISOが6400まで上がっているせいか、EOS R10の方がノイズが気持ち多い気がします。といってもピクセル等倍まで拡大しないとわからないレベルです。
焦点距離 100mm (95mm)
まずEOS R10による撮影です。うまく100mmで調整できました。
次にEOS 80Dです。100mmに会わせようと思ったのですが、うまく調整できず95mmで撮影しました。
なんとなくEOS R10の方が明るさとしては適正になっている気がします。
この画角になると左右のイノシシは見切れてしまうので、中央のイノシシのみをピクセル等倍に拡大してみます。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 |
明らかにEOS R10の方が高画質という結果になりました。
焦点距離 200mm
さらにズームして200mmにしてみました。
まずはEOS R10による撮影です。ちょっとカメラが下を向いてしまったようで、イノシシの耳が見切れてしまいました。
EOS 80Dではうまくイノシシが中央に来るように撮影できました。
中央のイノシシをピクセル等倍に拡大してみます。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 |
ぱっと見、画質は同程度という感じでしょうか。
焦点距離 300mm
テレ端となる300mmです。
EOS R10による撮影です。
Exifデータをみると、絞りが6.3となり、シャッター速度が1/13まで遅くなっていることがわかります。
つづいてEOS 80Dでの撮影です。
こちらは同じく絞りは6.3ですが、シャッター速度は1/6まで遅くなっています。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 |
今回は三脚を使ってこともあり、シャッター速度が遅めでも手ぶれはしていません。そして両者を比較するとEOS R10のほうがよくディテールを残しています。
YUNGNOU Canon YN35mm F2
2本目のサードパーティーレンズはYONGNOU Canon YN35mm F2です。
このレンズは超音波モーターでないせいか、オートフォーカスでレンズが動くとジジっと言う音がします。ただ単焦点ということもあり、レンズが大きく動くこともないので、音が出るのは短時間です。よほど静かなところでなければ気にならないでしょう。
まずはEOS R10による撮影です。
このときのExifデータは次のようになりました。
焦点距離はレンズのスペック通り「35.0mm」となっていますが、気になるのはレンズ名称が「75.0 – 300.0mm」となっている点です。ちゃんとレンズ情報がカメラ側に提供できていないのでしょうか。
また「回折補正」が「する」になっている点も気になります。補正データが無いと思うのですが・・・
一方、EOS 80Dで撮影したのが下の写真です。
このときのExifデータは次のようになりました。
なんと謎なことに今度はレンズ名称が「35mm」となりました。なぜEOS R10とEOS 80Dでレンズ名称が変ってしまったのか不明です。この辺はサードパーティーレンズなのでイマイチ信用できないところです。
中央・右奥・左奥のイノシシをピクセル等倍に拡大してみます。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 | ||
右奥 | ||
左奥 |
どちらが綺麗かというと微妙なところです。ただ、サードパーティーレンズでもEOS R10でちゃんとした写真が撮れているのは確かです。
まとめ
今回はキヤノンのミラーレスカメラであるEOS R10にサードパーティーのEF/EF-Sレンズを装着して撮影してみました。
RFマウント用にはほとんどサードパーティーレンズがない状況ですが、マウントアダプターEF-EOS Rを利用することでEF/EF-Sマウントのサードパーティーレンズが使用できるようになり、CANON純正にはないような高倍率ズームレンズや低価格レンズもEOS R10で楽しめます。
次回はEOS R10用にSDカードを購入したことを紹介します。
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