前回はCANONの一眼レフEOS 80Dからの乗り換えとして、ミラーレスカメラEOS R10とマウントアダプターEF-EOSRを購入したことを紹介しました。
EOS R10とレンズ
レンズ交換式のミラーレスカメラであるEOS R10で撮影するためには当然ながらレンズが必要です。
EOS R10の場合はRFマウントという規格になっており、フルサイズ用のRFレンズとAPS-C用のRF-Sレンズを装着することができます。
RFマウントは2018年に発表されたためまだ歴史が浅いマウントです。
レンズラインナップは急速に増えてはいるものの、
- 価格が結構高い
- サードパーティーのRFレンズがない
- APS-C用のRF-Sレンズは3本しかない()
等の不満が残ります。
特にAPS-C用のRF-Sレンズが少ないことはEOS R10ユーザとしてはちょっと残念な状況です。
CANONとしてはAPC-CセンサーのEOS Rシリーズユーザにもフルサイズ用のRFセンサーを使って欲しいということなのかも知れません。
また、キヤノンからは従来のEFマウント用のレンズをRFマウントに装着するためのアダプターが提供されています。
RFレンズ/RF-Sレンズが足りない場合は、マウントアダプターを使うことによってEFレンズ/EF-Sレンズを使って欲しいということかもしれません。
所有レンズ
前回紹介したように、私が購入したのはEOS R10のボディのみです。そのため、当面はレンズは所有しているEF/EF-Sレンズを使用していく予定です。
そこでEOS R10に所有しているEF/EF-Sレンズを使ってみた様子を紹介します。使用するマウントアダプタは純正のEF-EOS Rです。
EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM
1本目はAPS-C用の広角ズームレンズです。
キヤノンの説明によると
35mm判換算で16〜35mm相当の超広角域をカバー。広い画角と強いパースペクティブを活かして、広大な風景をダイナミックに写し込んだり、被写体に寄って個性豊かなポートレートを撮影したり。人の目では捉えられない写真独自の表現を存分に楽しめます。また、最短撮影距離が0.24mときわめて短いため、花畑で手前の花をクローズアップ撮影しながら、花畑の全景を背景として写し込むという表現も可能です。
となっています。
超広角のため風景を撮影する際にとにかく便利です。このレンズを使うと目に映った範囲を余すところなく切り取ってくれます。
重量が約385g、最大径83.5mmとAPS-Cレンズとしてはなかなかサイズなのが難点ですが、風景写真を撮る機会が多い旅行などはこれ一本で出かけることも多かったです。
現時点ではこのレンズに変るRF/RF-Sレンズは存在しません。
フルサイズセンサーのカメラを使っている場合は「RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM」がちょうど良い感じですが、これをAPS-Cセンサーのカメラに装着すると焦点距離が1.6倍となってしまい期待通りの画角が得られません。
このレンズをマウントアダプターを介してEOS R10につなげると・・・なかなかの迫力です。
上から見るとこんな感じです。もはやレンズの方が主役という感があります。
重量を計算してみると、EOS R10 + マウントアダプター + レンズ = 429g + 110g + 385g = 924gと本体のみの倍以上となります。
コンパクトミラーレス感はなくなりますが、これで超広角の撮影ができるのは魅力的です。
EF40mm F2.8 STM
2本目は単焦点レンズです。薄型でパンケーキレンズと言われるレンズになります。
このレンズの簡単な説明は
- 直径68.2mm、厚み22.8mm、重さ約130gと薄型・軽量なパンケーキレンズ。最短撮影距離は0.3m、撮影倍率は0.18倍。
- ステッピングモーター(+ギア)を採用したことで、レンズの小型化、静音・高速オートフォーカスを実現。動画撮影もより快適に行える。
- コンパクトな設計のため、気軽にスナップ写真を撮ることができ、人物撮影においては、圧迫感を与えることなく撮影できる。
となります。
焦点距離はAPS-Cセンサーのカメラに装着した場合は約1.6倍の64mmとなります。
初めての単焦点レンズとして価格も安く手を出しやすいレンズでしたが、現在は販売が終了しているようです。
これをEOS R10にマウントアダプターを介して装着するとこんな感じです。
レンズがコンパクトなだけあって、EOS R10となかなか良いマッチングと思います。
マウントアダプターを介しているだけあってパンケーキレンズと言えども全長は長くなってしまいますが、なんとか許容範囲なのではないかと思います。
これなら気楽に持ち出せそうな感じです。
EF50mm F1.8 STM
3本目も単焦点レンズです。現行のEFレンズの中で一番安いのがこのレンズで、いわゆる撒き餌レンズに該当します。
キヤノンの説明によると
わずか160gという軽量・コンパクトさと、F1.8という明るさが特長の標準単焦点レンズです。
EF50mm F1.8 IIから定評のある光学設計を継承し、デジタルカメラでの撮影に適したコーティングを採用しています。また、絞りを5枚羽根から円形絞りの7枚にしたことで、背景を円形で美しくぼかし、被写体を際立たせる撮影表現が可能。APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載したEOSシリーズに装着した場合には、35mm判換算で焦点距離イメージが約80mm相当となり、ポートレート撮影にも最適な一本です。
というレンズです。
16,000円ぐらいから入手できるレンズなので、初めての単焦点レンズとして購入したこともあることも多いのではないでしょうか。
このレンズをEOS R10に装着すると次のようになります。
EF40mm F2.8 STMよりちょっと大きいですが、こちらもEOS R10と良いマッチングです。
長さもちょうど良い感じです。
キットレンズのRF-S 18-45との組み合わせだとちょうどこんな感じでしょうか…
APS-CセンサーのRF-Sトの組み合わせだと焦点距離が80mm相当なり、室内撮り等ではちょっと焦点距離が長そうですが、まずまずの組み合わせと思います。
なにより約16,000円という価格が魅力です。
撮影してみる
上で紹介した3本のレンズとEOS R10を組み合わせて撮影してみたいと思います。
比較に同じレンズを組み合わせてEOS 80Dでも撮影してみます。
なお、EOS R10もEOS 80Dもそれぞれのレンズの光学補正データを登録しており、
- 周辺光量補正
- 歪曲収差補正
- デジタルレンズオプティマイザ
を有効にしておあります。デジタルレンズオプティマイザは標準です。
詳細は下記のマニュアルを参照してください。
撮影セット
撮影は撮影ボックスに猪の人形を3体おいて行いました。
この撮影セットを正面から低い三脚にカメラを固定して撮影します。
同じレンズの場合はEOS R10とEOS 80Dはほぼ同じ位置で撮影していますが、厳密に同じ位置というわけではありません。撮影位置はレンズによって変化はさせています。
このため簡易的な比較と思ってください。
照明は室内光(シーリングライト)で、フラッシュはオフにしてプログラムAE・評価測光で撮影しています。ISO感度もオートになっています。
細かい操作はせず真ん中のイノシシにピントを合わせる操作だけしてシャッターを切りました。
純正EF/EF-Sレンズと純正マウントアダプターの組み合わせだけにAF・AF等は問題なく動作しました。
撮影したデータのリンク先は6000×4000のJPEGファイルとなっていますが、Webサーバの設定により再圧縮されています。
そのためカメラが生成したJPEGファイル(いわゆる撮って出しのJPEG)とは異なります。画質も劣化しておりますのでご参考程度とお考えください。
EF-S10-22mm F3.5-4.5 USMでの撮影
ワイド端の10mmで撮影を行いました。
まずはEOS R10の画像です。
このときのEXIFデータは次のようになります。
一方、EOS 80Dの画像は次のようになります。
EXIFデータは次の通りです。
同じレンズを使っているので当然ながら撮影範囲はほぼ同じです。
しかしEOS 80Dの方が明るく撮影されているせいか、綺麗な写真に見えます。
中央・右奥・左奥のイノシシをピクセル等倍に拡大してみます。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 | ||
右奥 | ||
左奥 |
明確は差はよくわからず、明るい分だけEOS 80Dの方がちょっとよく見える感じです。特に右奥のイノシシでEOS R10のほうがディテールが弱い気がします。
EOS R10の方が綺麗なことを期待していましたが、室内光程度では差が出ないのかもしれません。
EF40mm F2.8 STMでの撮影
EF40mm F2.8 STMをEOS R10に装着して撮影してみました。
先ほどのEF-S10-22mm F3.5-4.5より中央のイノシシがかなり鮮明になっていると思います。一方両脇のイノシシは少しぼけています。これはレンズの効果だと思います。
このときのEXIFデータは次のようになります。
一方、EOS 80Dの映像は次のようになります。ちょっと水平が取れていないのは気にしないでください。
このときのEXIFデータは次のようになります。
今回も見た目ではEOS 80Dの方が明るくなりました。ISO感度を下げてシャッター時間を稼いでいるためでしょうか。
ただ主観としてはEOS R10の方のが明るさ適正と思います。
中央・右奥・左奥のイノシシをピクセル等倍に拡大してみます。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 | ||
右奥 | ||
左奥 |
中央のイノシシで比較するとEOS R10の方がディテールが残っており、EOS 80Dの方がノイズ除去の影響が強く出ている気がします。
右奥・左奥については両者ともにレンズのボケが効いていて、画質としては比べにくい感じです。
EF50mm F1.8 STMでの撮影
次はEF50mm F1.8 STMです。
このときは確かEF40mm F2.8 STMと同じ位置から撮影したと思いますが、レンズの焦点距離の分だけアップになっています。
EOS R10に撮影したのがこの写真です。
カメラと言うよりレンズの効果ですが、EF40mm F2.8 STMと同様に中央のイノシシはビシッと写り、左右のイノシシはいい感じにぶれています。
このときのEXIFデータは次のようになります。
EOS 80Dでは次のようになります。
このときのEXIFデータは次のようになります。
これまでの二つのレンズはEOS R10よりEOS 80Dの方が明るく撮影されましたが、今回のレンズではそれほど差異が無いようです。
中央・右奥・左奥のイノシシをピクセル等倍に拡大してみます。
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
中央 | ||
右奥 | ||
左奥 |
もはやこうなってしまうと、どっちが良いかなんともいえません。
むしろこのレンズがこの距離でボケまくっているのがわかると思います。
今回はあまり面白くない被写体でしたが、被写体によっては面白い写真が撮れそうです。
比較
試しに撮影してみたところ
- EOS R10でEF/EF-Sレンズは問題なく使える
- 画質的にはEOS 80Dとの差は一目ではわからない
ということだけはわかりました。
これだけだとEOS R10のメリットがよくわからないので、もう少し細かくみてみます。
EF-S10-22mm F3.5-4.5 USMでの撮影
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
TV (シャッター速度) | 1/60 | 1/30 |
ISO感度 | 4000 | 3200 |
EF40mm F2.8 STMでの撮影
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
TV (シャッター速度) | 1/60 | 1/20 |
ISO感度 | 5000 | 3200 |
EF50mm F1.8 STMでの撮影
EOS R10 | EOS 80D | |
---|---|---|
TV (シャッター速度) | 1/80 | 1/60 |
ISO感度 | 5000 | 3200 |
こうしてみてみると同条件で撮影したにもかかわらず、EOS R10の方がISO感度が高くなっており、その分シャッター速度が速くなっています。
このため手持ちの撮影ではEOS R10の方が手ぶれや被写体ブレに強くなります。
一方、ISO感度が上がると画像にノイズが乗りやすくなります。EOS R10は画像エンジンが新しくなってノイズに強くなったのか、積極的にISO感度を上げてシャッター速度を速めるように設計されているのかもしれません。
まとめ
今回はCANONのミラーレスカメラであるEOS R10にEF/EF-Sレンズを装着して撮影してみました。
EF/EF-Sレンズを使うためにはマウントアダプターが必要になり、EOS R10のコンパクトさが犠牲になりますが、純正だけに問題なく撮影できます。
EOS 80Dとオートで室内撮影比較してみると、EOS R10の方がISO感度が上がりやすく設定されていますが、画質的な優劣は感じられません。EOS R10の方がノイズに強くなり、室内撮影でも速いシャッター速度が使えることがわかります。
次回はサードパーティーのEF/EF-Sレンズを使ってみたいと思います。
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