今回は「あとで読む」サービスであるPocketの移行先について紹介したいと思います。
はじめに
長年愛用してきた「あとで読む」サービスのPocketが、残念ながらサービス終了のアナウンスがありました。多くのユーザーが代替サービスを探しているのではないでしょうか。
Pocketのサービス終了でお困りの方、また、自分だけの情報収集基盤をコントロールしたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。この記事では、そうした方々に向けて、オープンソースの「あとで読む」サービスwallabagを、人気のレンタルサーバー「エックスサーバー」に導入する手順を解説します。自分だけの快適な環境を、ステップバイステップで構築していきましょう。
セルフホストすることで、外部サービスに依存せず、自分のデータを自分で管理できる安心感と、有料プランの制限なく全機能を使える自由を手に入れましょう!
Pocketショック!「あとで読む」サービスのこれから
Pocketのサービス終了は、多くのデジタル情報収集家にとって大きなニュースでした。
ご利用ありがとうございました: Pocket が廃止されます
大切なお知らせがあります: 検討を重ねた結果、ウェブページを後で読むために保存したり、コンテンツを発見したりできる Pocket を廃止するという苦渋の決断に至りました。
ここで知っていただきたいことがあります。Pocket は 2025 年 7 月 8 日に終了します?
それまでは、アプリやブラウザの拡張機能を引き続きご利用いただけます。ただし、2025 年 5 月 22 日以降は、アプリのダウ> ンロードや Pocket Premium サブスクリプションの新規購入はできなくなります。
保存した記事はエクスポートできます
保存されたコンテンツの重要性を理解しております。保存した記事 (URL、タイトル、メモ、ハイライトを含む) は、2025 年 10 月 8 日までエクスポートページからダウンロードできます。その日以降は、すべての Pocket アカウントとデータは永久に削除されます。お手伝いします
ご不明な点やお困りのことがありましたら、サポートチームがお手伝いします。データやアカウント情報などのエクスポート方法については、サポートセンターをご覧ください。これまで、Pocket は何百万人に利用され、ウェブの最高のコンテンツを保存し、楽しむお手伝いをしてきました。その過程にご参加いただき、ありがとうございました。
感謝を込めて
Pocket チーム
私はPocketのヘビーユーザーというわけではありませんでした。しかし「ブックマークするほどでもないけど後で内容を確認したいWebサイトを覚えておく」ちょうどよく、ときどき活用していました。
これがまさに「あとに読む」という使い方なのだと思います。
幸いなことに、Pocketの代替となる「あとで読む」サービスはいくつか存在します。たとえば、InstapaperやReadwise Readerなどが有名です。しかし、これらの多くは有料プランがあったり、外部サービスにデータを預ける形になります。

そこで注目したいのが、今回ご紹介するwallabagです。
wallabagとは? – 自分だけの「あとで読む」をセルフホスト
wallabagは、ウェブページを保存してあとで読むためのオープンソースアプリケーションです。
主な機能は以下の通りです。
- ウェブページのコンテンツ(テキストと画像)を抽出して保存
- タグ付けによる記事の分類
- 強力な検索機能
- 多言語対応(日本語もOK)
- モバイルアプリやブラウザ拡張機能による連携
そして、wallabag最大の魅力はセルフホストが可能な点です。
セルフホストの大きなメリット
- 有料プランの制限なし: wallabagには公式のクラウドサービスもありますが、セルフホストすれば基本的に無料で全機能が利用可能です。
- データは自分のもの: サービス提供者に依存せず、自分のデータを自分で完全に管理できます。プライバシーの観点からも安心です。
- カスタマイズ性: サーバー環境やwallabag自体の設定をある程度自由に調整できます。
- 学習機会: サーバー管理やオープンソースソフトウェア運用の知識が深まります。
なぜエックスサーバー? – wallabag導入に適した理由
wallabagをセルフホストするにあたり、レンタルサーバーの選択は重要です。今回は、国内で高いシェアを誇り、WordPressユーザーにも人気の「エックスサーバー」をオススメします。

エックスサーバーがwallabag導入に適している理由は以下の通りです。
- PHP・データベースサポート: wallabagが必要とするPHPのバージョンや拡張機能、MySQL/MariaDBデータベースを標準でサポートしています。
- 使いやすいコントロールパネル: サーバーパネルが直感的で、データベース作成やPHP設定の変更が比較的簡単に行えます。
- 十分なサーバースペック: 高速なSSD、十分なCPU/メモリリソース、安定したネットワーク環境を提供しており、wallabagも快適に動作します。
- WordPressとの共存: すでにWordPressサイトを運営している場合でも、サブドメインやサブディレクトリにwallabagを問題なく設置できます。
WordPressに対応しているmixhost・カラフルボックスなどの他のレンタルサーバーでも、wallabagをセルフホストできる可能性は高いと思います。
未検証ですが、レンタルサーバーにSSHで接続できる、「mod_rewrite」や「.htaccess」を使えるレンタルサーバーであれば、今回の記事とほぼ同様の手順でいけるのではないかと思います。
wallabagの動作要件とエックスサーバーでの確認ポイント
wallabagをインストールする前に、動作要件を確認しましょう。最新の要件はwallabag公式サイトのドキュメントで確認できますが、主なものは以下の通りです(バージョンは執筆時点のものです。常に最新を確認してください)。
- PHP: 7.4以上
- Composer: 1.8.0以上
- PHP拡張機能:
session
,ctype
,dom
,hash
,simplexml
,json
,gd
,mbstring
,xml
,tidy
,iconv
,curl
,gettext
,tokenizer
,bcmath
,intl
,fpm
,pdo_mysql
(あるいはpdo_pgsql
かpdo_sqlite
) - データベース: MySQL/MariaDB, PostgreSQL, SQLite3
- Webサーバー: Apache, Nginx, Caddyなど
エックスサーバーでは、これらの要件の多くを標準で満たしています。
エックスサーバーでの確認・設定方法
-
SSH接続の設定・確認
-
PHPバージョンの確認・変更:
-
PHP拡張機能の確認:
- 利用できる拡張機能を確認するには、SSHでサーバに接続し、
php8.2 -m
を実行します。
$ php8.2 -m [PHP Modules] apcu bcmath bz2 (以下省略)
- 出力された結果からwallabagに必要な拡張機能が不足していないかどうか確認します。私が利用しているPHP 8.2.22の場合は、
tidy
とfpm
が不足していました。
ただこの2つはなくてもwallabagを動かす上では問題ないようなので、気にしなくて大丈夫です。
- 利用できる拡張機能を確認するには、SSHでサーバに接続し、
-
データベース:
- エックスサーバーはMariaDB(MySQL互換)を提供しており、wallabagで利用可能です。
つまり、PHPのバージョンをちゃんと選んでおけば、エックスサーバーのデフォルト設定でwallabagの要件を満たせるはずです。
実践!エックスサーバーへのwallabagインストール手順
インストール手順では多くの操作をエックスサーバーにSSH接続して行いますので、SSH接続をできるようにしておいてください。
また、エックスサーバーの場合、しばらく操作していないとSSHが強制的に切断されてしまいます。操作できないなと思ったら、再接続してみてください。
エックスサーバーにwallabagをインストールするには2つのパターンがあります。
-
サブドメインにインストールする
yourdomain.com
という独自ドメインでWebサイト(WordPressを含む)を運営している場合に、wallabag.yourdomain.com
というサブドメインを作成し、このサブドメインでアクセスできるようにインストールする方法です。
独自ドメインを設定しているのであればこの方法がオススメです。 -
サブディレクトリにインストールする
yourdomain.com
という独自ドメインでWebサイト(WordPressを含む)を運営している場合に、サブディレクトリyourdomain.com/wallabag/
にインストールする方法です。
エックスサーバーでデフォルトで割り当てられる初期ドメイン(サーバID.xsrv.jp
)を利用している場合はサブドメインが作成できないためこの方法になります。
この記事ではサブドメインにインストールする方法にいて紹介します。
サブディレクトリにインストールする方法については別途紹介したいと思います。
なお、PHPのバージョンは8.2.22が選択されているものとします。
ステップ1: サブドメインの作成
最初にwallabagをインストールするサブドメインを作成します。今回は「wallabag」というサブドメインを作成します。
-
エックスサーバーの「サーバーパネル」にログインします。
-
「ドメイン」カテゴリ内の「サブドメイン設定」を選択し、サブドメインを追加したいドメインが表示されていることを確認して、「サブドメインを追加」を選択します。
-
サブドメイン作成を完了すると次のような画面になります。作成直後は設定状況が「反映待ち」のはずです。
反映が完了するまでサブドメインでのアクセスはできませんが、wallabagのインストール作業自体は進めてOKです。反映が完了するとここは「正常」となります。
以上で、サブドメインの作成は完了です。
ステップ2: データベースの準備
wallabagが使用するデータベースを作成します。
-
エックスサーバーの「サーバーパネル」にログインします。
-
データベースの情報を次のように入力し・選択し、新しいデータベースを作成(追加)します。
- データベース名: 任意の名前(例:
wallabag
) - 文字コード:
UTF-8 (utf8mb4)
- データベース名: 任意の名前(例:
-
ユーザーの情報を次のように入力し、新しいユーザを作成します。
- MySQLユーザID: 任意の名前(例:
wuser
) - パスワード: 強力なパスワードを設定し、必ず控えておきます。
- メモ: 任意のテキスト
- MySQLユーザID: 任意の名前(例:
-
「ユーザーを追加」を選択したあと、次のように設定しデータベースにユーザを追加します。
- 設定方法:「既存MySQLユーザーから選択」を選択
- MySQLユーザID: 先度作成したユーザを選択
以上でデータベースの準備は完了です。
なお、「データベース名」「MySQLユーザID」「MySQLユーザIDのパスワード」は後で必要になりますので、控えておきましょう。
ステップ3: メールアカウントの作成
wallabagからの通知などの送信元になるメールアカウントと、二要素認証の送信元となるメールアカウントをwallabag用のサブドメインに作成しましょう。
ここでは次のメールアドレスを作成します。
用途 | メールアドレス |
---|---|
wallabagの管理者 (通知メール等の送信元) | admin@wallabag.yourdomain.com |
二要素認証の送信元 | auth@wallabag.yourdomain.com |
-
エックスサーバーの「サーバーパネルにログイン」します。
-
作成するメールアカウント情報を次のように入力し、新しいメールアカウントを作成します。
- メールアカウント: 作成したいメールアドレスになるようにアカウント名を入力しとドメインを選択
- パスワード: 強力なパスワードを作成し、必ず控えておきます。ただしパスワードには
@
や:
、?
などの特殊文字は含まないほうが無難です。 - 容量: デフォルトの「2000MB」で問題ありません。もっと少なくてもよいです。
- メモ: 任意のテキスト
-
同様に二要素認証の送信元となるメールアカウントも作成します。
以上でメールアカウントの準備は完了です。
ステップ4: PHPの設定とComposer 2のインストール
wallabagをインストールする前に、PHP関係の設定をしておきます。
やることはphp
でPHP 8.2.22が呼び出せるようにすることと、PHPのパッケージ管理システムであるComposerをインストールすることです。
エックスサーバーにもComposerは入っていますがバージョンが1.10.27と古く、wallabagのインストールには使えません。そこで最新版(この記事作成時点では2.8.9)をインストールします。
-
エックスサーバーにSSHで接続します。
-
環境変数PATHに
/home/ユーザ名/bin
が含まれることを確認します。echo $PATH
もし含まれていない場合は、
.bash_profile
の末尾にexport PATH=$HOME/bin:$PATH
を追加して、source ~/.bash_profile
を実行します。 -
/usr/bin/php8.2へのシンボリックリンクを/home/ユーザ名/binにphpという名前で作成します。
ln -s /usr/bin/php8.2 /home/ユーザ名/bin/php
-
念の為、PATHを再読込します。
hash -r
-
作業用のディレクトリを作成します。ここではtmpを作成します。
mkdir -p /home/ユーザ名/tmp cd /home/ユーザ名/tmp
-
Composer 2のインストーラーをダウンロードします。
php8.2 -r "copy('https://getcomposer.org/installer', 'composer-setup.php');"
-
Composer 2をcomposerというファイル名で
/home/ユーザ名/bin
にインストールしますphp8.2 composer-setup.php --install-dir=/home/ユーザ名/bin --filename=composer
-
念の為、一度PATHを再読込しておきましょう。
hash -r
ここまで来たらphp
とcomposer
のバージョンを確認しておきましょう。
$ php --version
PHP 8.2.22 (cli) (built: Aug 5 2024 10:25:13) (NTS)
Copyright (c) The PHP Group
Zend Engine v4.2.22, Copyright (c) Zend Technologies
$ composer --version
Composer version 2.8.9 2025-05-13 14:01:37
PHP version 8.2.22 (/opt/php-8.2.22/bin/php)
Run the "diagnose" command to get more detailed diagnostics output.
このようにphp
のバージョンが8.2.22で、composer
のバージョンが2.xであればOKです。
ステップ4: wallabagのダウンロードと修正
事前準備として最新のwallabagをダウンロードするための「タグ」を確認しておきましょう。
wallabagのリリースは下記に記載されています。
先頭に表示されるが一番新しいリリースです。その左側にあるタグアコンの隣の文字列がこのリリースを表す「タグ」です。
この記事作成時点では最新リリースは「2.6.13」です。
また、wallabagのファイルはサブドメインのドキュメントルートではなく、親ドメインのディレクトリに置くようにします。
-
エックスサーバーにSSHで接続します。
-
wallabagを配置するディレクトリ(親ドメインのディレクトリ)に移動します。
cd $HOME/ユーザ名/yourdomain.com/
-
git
コマンドを使って最新リリースを取得します。git clone https://github.com/wallabag/wallabag.git -b 2.6.13
「-b」で指定している
2.6.13
は調べた最新リリースのタグです。
これでwallabagというディレクトリが作成され、その中にwallabagのファイルが配置されたことになります。
次に、エックスサーバーだとwallabagのインストーラーでエラーが出てしまうので、エラーが出ないように修正します。
-
wallabagのスクリプトが配置されているディレクトリに移動します。
cd wallabag/scripts/
-
vi
でinstall.sh
を開きます。vi install.sh
-
最後から2行目を次のように修正します。
SYMFONY_ENV=$ENV $COMPOSER_COMMAND install --no-dev -o --prefer-dist --ignore-platform-reqs
(行の末尾に
--ignore-platform-reqs
を追加します) -
修正した
install.sh
を保存して、vi
を終了します。
vi
の操作が苦手な方は、WinScpで接続してWindowsで編集するなど工夫をしてください。
これでエックスサーバーの環境でもスクリプトが完走する様になりました。
ステップ5: インストール
インストールもエックスサーバーにSSH接続して行いますが、インストールの途中で情報を入力する際に時間がかかってしまうと、SSHのセッションが切断されてしまいます。
入力すべき情報を確認しておき、コピペできるようにあらかじめ用意することをオススメします。
試用しているPHPのバージョンによっては「PHP Deprecated: …」という警告が表示されることがありますが、無視をしてよいようです。
-
エックスサーバーにSSHで接続します。
-
wallabagを配置したディレクトリに移動します。
cd $HOME/yourdomain.com/wallabag
-
インストーラーを実行します。
make install
-
必要なPHPパッケージがダウンロードされた後、自分の環境に合わせたパラメーターを入力します。
入力が必要な項目は次のとおりです。これらの項目以外は入力不要でエンターキーだけを押せばOKです。- database_driver: 入力不要
- database_host: 入力不要
- database_port: 入力不要
- database_name:
作成したデータベース名
- database_user:
作成したMySQLユーザID
- database_password:
作成したMySQLユーザIDのパスワード
- database_path: 入力不要
- database_table_prefix: 入力不要
- 任意の文字列に変更してもよいです。
- database_socket: 入力不要
- database_charset: 入力不要
- domain_name:
https://wallabag.yourdomain.com
- 末尾の
/
は不要です。
- 末尾の
- server_name:
任意の文字列
My wallabag
等で問題ありません。
- mailer_dsn:
smtp://admin%40wallabag.yourdomain.com:パスワード@送信サーバー:465?encryption=ssl&auth_mode=plain
- メールアドレスの
@
記号はURLエンコードして%40
に置き換えます。 - パスワードに
@
や:
、?
などの特殊文字が含まれる場合は、URLエンコードする必要があります。 送信サーバー
は、「サーバーパネル」の「メールアカウント設定」で「メールソフト設定」を選択すると表示されます。
- メールアドレスの
- locale:
ja
- 日本語を用いる場合。英語のままが希望であれば入力不要です。
- secret:
32文字以上のランダムな文字列
openssl rand -base64 32
で生成可能です。
- twofactor_sender:
auth@wallabag.yourdomain.com
- 作成した二要素認証の送信元メールアドレスを入力します。
- fosuser_registration:
false
true
の場合は誰でも自由に新しいアカウントを作成できてしまいますので、個人用ならfalse
がオススメです。
- fosuser_confirmation:
false
fosuser_registration
をfalse
にしているのならば、ここもfalse
でOKです。
- fos_oauth_server_access_token_lifetime: 入力不要
- fos_oauth_server_refresh_token_lifetime: 入力不要
- from_email:
admin@wallabag.yourdomain.com
- 作成したwallabagの管理者メールアドレスを入力します。
- rss_limit: 入力不要
- rabbitmq_host: 入力不要
- rabbitmq_port: 入力不要
- rabbitmq_username: 入力不要
- rabbitmq_password: 入力不要
- rabbitmq_prefetch_count: 入力不要
- redis_scheme: 入力不要
- redis_host: 入力不要
- redis_port: 入力不要
- redis_path: 入力不要
- redis_password: 入力不要
- sentry_dsn: 入力不要
-
It appears that your database already exists. Would you like to reset it? (yes/no)
と聞かれたら、yes
を入力します。 -
Would you like to create a new admin user (recommended)? (yes/no)
と聞かれた場合はyes
を入力し、管理者ユーザーの情報を入力します。
この管理者ユーザーをwallabagを管理するための特別な権限を持ったユーザーです。- Username:
管理者ユーザー名
(admin
やwallabag
など任意の文字列でOK) - Password: 入力不要
- Email:
admin@wallabag.yourdomain.com
(管理者メールアドレス)
- Username:
管理者ユーザーのパスワードは本来は独自のものを設定したほうが良いのですが、私の場合はパスワードの入力中の文字が見えず正しく入力されているのかどうか確認が困難でした。
そこで管理者ユーザーのパスワードは入力せずにデフォルトのものを用い、後ほど独自のパスワードに変更することにしました。
次にPHPの非同期処理を無効化するために、wallabagのディレクトリにあるapp/config/config_prod.ymlを次のように
修正します。
修正するポイントは、framework: messenger: enabled: false
の部分になります。
imports:
- { resource: config.yml }
framework:
assets:
# json_manifest_path: '%kernel.project_dir%/web/bundles/wallabagcore/manifest.json'
messenger:
enabled: false
#doctrine:
# orm:
# metadata_cache_driver: apc
# result_cache_driver: apc
# query_cache_driver: apc
monolog:
handlers:
main:
type: fingers_crossed
action_level: error
handler: nested
nested:
type: stream
path: "%kernel.logs_dir%/%kernel.environment%.log"
level: debug
console:
type: console
sentry:
dsn: "%sentry_dsn%"
これはエックスサーバーにはメッセージキューを使った非同期処理システムが利用できないので、明示的に利用しないように設定しています。
最後に$HOME/yourdomain.com/wallabag/web
にwallabagとして公開すべきファイルが置かれているので、このディレクトリのファイルを見えるようにします。
そのためにはサブドメインのドキュメントルート($HOME/yourdomain.com/public_html/wallabag.yourdomain.com/
)へシンボリックリンクを作成します。
-
サブドメインのドキュメントルートに移動します。
cd $HOME/yourdomain.com/public_html/wallabag.yourdomain.com/
-
wallabagのwebディレクトリの中身へのシンボリックリンクを作成します。
ln -s ../../wallabag/web/* . ln -s ../../wallabag/web/.htaccess .htaccess
-
不要なシンボリックリンクを削除します。
rm app_dev.php
-
念のためキャッシュを再構築しておきます。
cd $HOME/yourdomain.com/wallabag php bin/console cache:clear --env=prod --no-warmup
ここまで来たらWebブラウザでwallabagをインストールしたサブドメイン(http://wallabag.yourdomain.com/
)にアクセスしてみましょう。
次のような画面が出たらインストール成功です。
ステップ6: 初期設定とユーザーの作成
wallabagのインストールに成功したら、初期設定をします。
まずは管理者ユーザーのパスワードを強力なものに変更しましょう。
-
ブラウザでwallabagをインストールしたサブドメインにアクセスします。
-
作成した管理者アカウントでwallabagにログインします。このとき「ログイン維持」のチェックボックスは外しておいてOKです。
ログインに成功すると次のような画面が表示されます。
-
まず管理者ユーザのパスワードを変更します。
管理者ユーザーのとは別に普段遣い用のアカウントも作成しておきます。
ユーザーの作成に成功したら、いったんログアウトして、作成したユーザでログインできることを確認しましょう。
新しく作成したユーザーでログインし、メニューを確認してみると、さきほどまでのメニューと若干違うことがわかると思います。
これは新たに作成したユーザーは管理者ユーザーではなく、一般ユーザーであるのためです。
さよならPocket、こんにちはwallabag!データの移行方法
Pocketに保存していた大量の記事も、wallabagに移行できます。
データの移行にはPocketのAPIを使う方法と、PocketからHTMLでエクスポートしてWallabagにインポートする方法があります。
Wallabagの公式ではPocket APIを紹介していますので、この記事でもPocketのAPIを使ってみます。
-
Pocketの開発者サイトで、新しいアプリケーションを作成します。
- 開発者サイトにアクセスし、Pocketのアカウントでログインします。
- 「Create an Application」という画面が表示されたら必要事項を入力します。
「Application Name」と「Application Description」は適当でよいですが、「Permissions」と「Platforms」箱のスクリーンショットのように「Retrieve」と「web」を選んでください。 - 「CONSUMER KEY」を保存します。
「CREATE APPLICATION」を選択すると次の画面のようになります。ここで表示される「CONSUMER KEY」は後ほど使用するのでコピーしておきます。
-
wallabagに戻り、普段遣い用ユーザーでログインします。
-
メニューから「設定」を選択して「コンテンツをインポートするPocketのコンシューマーキー」の欄に、さきほど取得した「CONSUMER KEY」を入力して保存します。
-
「許可」を選択したら画面は変わりませんが、データのインポート処理が行われます。
これはエックスサーバーではPHPの非同期実行が行えないためです。
インポートが完了すると、インポート前の画面に戻ります。左側の記事数が増えていればインポート成功です。
インポートにかかる時間は当然ながらPocketに保存している記事数に依存します。私の場合は約200記事でインポートには5分ほどかかりました。
いつでもどこでも!スマートフォン(Android)との連携
セルフホストしたwallabagも、スマートフォンアプリと連携することで、外出先でも快適に利用できます。
Android用wallabagクライアントアプリ
Google Playストアで「wallabag」と検索すると、公式のwallabagアプリが見つかります。
-
アプリをインストールし、起動します。
-
初回起動時に設定画面が表示されます。最初の画面では「次へ」を選択します。
-
次の画面では「その他」を選択してから「次へ」を選択します。
-
基本的な構成の画面ではセルフホストしたwallabagの情報を入力したあとに「接続」を選択します。
- wallabag URL: セットアップしたwallabagのURLを入力します (例:
https://wallabag.yourdomain.com
)。 - ユーザー名: wallabagのユーザー名。
- パスワード: wallabagのパスワード。
- wallabag URL: セットアップしたwallabagのURLを入力します (例:
これで、スマートフォンから記事の閲覧や保存ができるようになります。
ブラウザ拡張機能
PCのブラウザ(Chrome, Firefoxなど)からも簡単に記事を保存できるように、wallabagのブラウザ拡張機能も用意されています。
たとえば、Chromeの場合は「Wallabagger」という拡張機能があります。
ここではChrome系のブラウザでwallabagを利用する手順を紹介します。
-
APIクライアントを作成します。
拡張機能から自分のアカウントのwallabagにアクセスするためのAPIクライアントを作成します。 -
ブラウザでWallabagger拡張機能をインストールします
-
インストール後に次の画面が表示されるので、wallabag URLにセットアップしたwallabagのURLを入力して、「URLを確認」を選択します。
-
次のような画面が表示されたら「許可」を選択します。
-
「クライアントID」・「クライアントシークレット」・「ユーザー名」・「パスワード」を入力して「トークンを取得」を選択します。
なお、クライアントIDなどを入力する欄が表示されない場合は、wallabag URLを再度入力して「URLを確認」してみてください。あるいは、「拡張機能のオプション」でこの画面を開き直してもうまくいく場合があります。
-
画面の右側で「Wallabag APIトークンが「付与済み」になれば設定完了です。
Wallabag APIトークンが付与済みにならない場合は、認証情報を再度入力して「トークンを取得」を選択し直してみてください。
これでブラウザ拡張機能の導入完了です。
あとはツールバーのアイコンを選択すれば、そのページをwallabagに保存できるようになります。
もちろん、保存時にタグを付けたりすることも可能です。
詳細は紹介しませんがFirefoxでも同様の手順で拡張機能が導入可能ですので、Fireboxをご利用の方は試してみてください。
まとめ – 自分だけの「あとで読む」環境を手に入れよう!
Pocketのサービス終了は残念ですが、これを機にwallabagをエックスサーバーにセルフホストすることで、以下のような大きなメリットが得られます。
- 完全なデータ主権: あなたの記事データは、あなた自身のサーバーにあります。
- コスト削減: 有料プランの月額料金から解放されます(サーバー代はかかりますが)。
- 無制限の機能: 基本的にwallabagの全機能を利用できます。
- プライバシー保護: 外部サービスに閲覧履歴を渡す必要がありません。
設定には少し手間がかかるかもしれませんが、一度構築してしまえば、自分だけの快適で安全な「あとで読む」環境が手に入ります。この記事が、Pocketからの移行を考えている方や、自分だけの情報収集基盤を構築したいと願うすべての方の一助となれば幸いです。
ぜひ、wallabag + エックスサーバーで、新しいデジタルリーディングライフを始めてみてください!
コメント