前回はお名前.com VPSのDebian wheezyのLinuxカーネルをデフォルトの3.2.0から4.0.0に更新してみました。
基本的にCPUが変わったわけではないので、性能に大きな差はないと思いますが、ディスク周りやスレッド周りで性能かかわっている可能性があるので、念のためベンチマークを実行してみました。
お名前.com VPSのプランは月額1315円のメモリ2GBプラン(メモリ2GB, CPU 3コア, HDD 200GB)です。カーネル3.2.0時代のベンチマークの数値は以前実施した結果から持ってきています。
今回は結果だけ示すのでベンチマークの実行方法は上記のページを参照してください。
bonnie++: ハードディスク性能
数値がよいほうを水色の背景にしています。
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 3.2.0 (Virtio: ON) |
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 4.0.0 (Virtio: ON) |
||||
---|---|---|---|---|---|
スループット (K/sec) |
レイテンシ (us) |
スループット (K/sec) |
レイテンシ (us) |
||
シーケンシャル アウトプット |
キャラクタ単位 | 657 | 19,539 | 550 | 22,618 |
ブロック単位 | 264,862 | 243,000 | 220,315 | 389,000 | |
ブロック単位 (再書き込み) |
79,097 | 390,000 | 58,460 | 466,000 | |
シーケンシャル インプット |
キャラクタ単位 | 3,938 | 66,323 | 2,722 | 58,840 |
ブロック単位 | 158,433 | 117,000 | 227,438 | 100,000 | |
ランダムシーク | 1.017 | 174,000 | 0.8624 | 235,000 | |
シーケンシャル クリエイト |
クリエイト | — | 7,113 | — | 6,494 |
リード | — | 636 | — | 531 | |
デリート | — | 1,166 | — | 1,322 | |
ランダム クリエイト |
クリエイト | — | 499 | — | 494 |
リード | — | 104 | — | 25 | |
デリート | — | 1,123 | — | 1,219 |
一進一退という感じです。このベンチマークは結構実行毎に値のブレがあるので参考程度と考えた方がよさそうです。
dbench: ハードディスク性能
これも数値がよいほうを水色の背景にしています。
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 3.2.0 (Virtio ON) |
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 4.0.0 (Virtio ON) |
|||
---|---|---|---|---|
スループット (MB/sec) |
MAXレイテンシ (ms) |
スループット (MB/sec) |
MAXレイテンシ (ms) |
|
1 スレッド | 203.468 | 109.789 | 189.081 | 103.137 |
2 スレッド | 338.866 | 179.441 | 301.817 | 150.347 |
4 スレッド | 557.197 | 95.768 | 476.881 | 89.118 |
8 スレッド | 722.040 | 371.383 | 649.858 | 405.110 |
16 スレッド | 777.967 | 447.950 | 722.800 | 500.485 |
このベンチマークはKernel 3.2.0のほうが優勢です。
mbw: メモリ性能
これも数値がよいほうを水色の背景にしています。
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 3.2.0 (Virtio: ON) |
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 4.0.0 (Virtio: ON) |
|
---|---|---|
スループット (MB/sec) |
スループット (MB/sec) |
|
MEMCPY | 3169.863 | 2917.219 |
DUMB | 3564.740 | 3264.228 |
MCBLOCK | 4981.688 | 4850.690 |
このベンチマークは差が出ないと思ったのですが・・・若干、Kernel 4.0.0のほうが悪いです。
sysbench: 総合テスト
sysbenchはテスト項目が「cpu」「threads」「mutex」「fileio」「oltp(データベース)」が選択できます。
いずれもこれも数値がよいほうを水色の背景にしています。
CPU
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 3.2.0 (Virtio: ON) |
お名前.com VPS 64bit Debian kernel 4.0.0 (Virtio: ON) |
|||
---|---|---|---|---|
平均処理時間 | 標準偏差 | 平均処理時間 | 標準偏差 | |
1 スレッド | 12.1561 | 0.00 | 12.2005 | 0.00 |
2 スレッド | 6.1630 | 0.00 | 6.1855 | 0.00 |
4 スレッド | 4.0717 | 0.00 | 4.1481 | 0.00 |
8 スレッド | 4.0813 | 0.01 | 4.0724 | 0.01 |
16 スレッド | 4.0681 | 0.01 | 4.1070 | 0.01 |
優勢の数はKernel 3.2.0のほうが多いですが、ほとんど数値は同じです。誤差の範囲といえるでしょう。
マルチスレッド
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 3.2.0 (Virtio: ON) |
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 4.0.0 (Virtio: ON) |
|||
---|---|---|---|---|
平均処理時間 | 標準偏差 | 平均処理時間 | 標準偏差 | |
1 スレッド | 2.7124 | 0.00 | 2.6332 | 0.00 |
2 スレッド | 2.4271 | 0.00 | 2.7278 | 0.00 |
4 スレッド | 1.7948 | 0.00 | 1.3900 | 0.00 |
8 スレッド | 3.4392 | 0.00 | 3.1305 | 0.00 |
16 スレッド | 4.7680 | 0.01 | 4.2907 | 0.00 |
32 スレッド | 5.7740 | 0.01 | 5.3605 | 0.01 |
64 スレッド | 4.6216 | 0.02 | 4.7452 | 0.01 |
128 スレッド | 4.0160 | 0.01 | 4.0336 | 0.01 |
こちらは優勢の数はKernel 4.0.0のほうが多いですが、微妙な違いです。こちらも誤差の範囲といえるでしょうか。
ファイルI/O
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 3.2.0 (Virtio: ON) |
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 4.0.0 (Virtio: ON) |
|||
---|---|---|---|---|
平均処理時間 | 標準偏差 | 平均処理時間 | 標準偏差 | |
1 スレッド | 0.0701 | 0.00 | 0.0789 | 0.00 |
2 スレッド | 0.0420 | 0.00 | 0.0502 | 0.00 |
4 スレッド | 0.0330 | 0.00 | 0.0310 | 0.00 |
8 スレッド | 0.0327 | 0.01 | 0.0252 | 0.01 |
16 スレッド | 0.0598 | 0.05 | 0.0236 | 0.01 |
スレッド数が多くなるとKernel 4.0.0のほうが性能がよくなっています。スケジューラを変更したせいかもしれません。
データベース(MySQL)
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 3.2.0 (Virtio: ON) |
お名前.com VPS 64bit Debian Kernel 4.0.0 (Virtio: ON) |
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---|---|---|---|---|
平均処理時間 | 標準偏差 | 平均処理時間 | 標準偏差 | |
1 スレッド | 21.0473 | 0.00 | 23.7902 | 0.00 |
2 スレッド | 23.0392 | 0.00 | 27.0136 | 0.00 |
4 スレッド | 23.4389 | 0.00 | 25.9938 | 0.00 |
8 スレッド | 22.7548 | 0.01 | 27.1775 | 0.01 |
16 スレッド | 22.6705 | 0.01 | 26.4026 | 0.01 |
ファイルI/Oでスレッド数が多いときにKernel 4.0.0のほうが多かったので期待していましたが、データベースのベンチマークではKernel 3.2.0の完勝となりました。
まとめ
今回はお名前.com VPSのDebian wheezyのカーネルを4.0.0にバージョンアップした状態でベンチマークを実行してみました。
バージョンアップ前のKernel 3.2.0のときのベンチマーク結果と比較すると微妙に遅くなっているような気もしないこともありません。Kernel 4.0.0の新しい機能を使いたいということでなければ、無理にバージョンアップする必要もなさそうです。
次回はWordPressを引越しするための準備を進めます。
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