前回は中華スマホRedmi Note 3 Proに公式版のCM13を導入しようとして失敗しました。
今回はRedmi Note 3 Pro編の続きとして、Redmi Note 3 ProのLTEをプラチナバンドに対応させようとして失敗したことを紹介したいと思います。
なお、Redmi Note 3 Proの3GをFOMAプラスエリアに対応させた話は下記になります。今回はこの続きという位置づけかもしれません。
今回使用しているRedmi Note 3 Proは海外通販サイトEverBuying(閉鎖)から提供していただきました。
2019/03/02時点のRedmi Noteシリーズの最新機種は、Redmi Note 7となります。Redmi Note 7のGloval Versionは海外通販サイトGeekBuyingで239.99ドルで販売しています。
GeekBuyingでの注文方法については、下記ページを参照してみてください。
Redmi Note 3 ProのLTEとプラチナバンド
Redmi Note 3 ProのLTEの対応周波数(バンド)は次のようになっています。
4G (LTE) | 1(2100), 2(1900), 3(1800), 4(1700/2100), 5(850), 7(2600), 8(900), 38(2600), 39(1900), 40(2300), 41(2500) |
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一方、ドコモのLTEは次のようになっています。
バンド 1 (2100MHz) | LTEの基本的なバンド。全国で運用。 |
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バンド 3 (1800MHz) | 東名阪で運用されているバンド。高速。 |
バンド 19 (800MHz) | プラチナバンド。 山間部などで運用されているバンド。 ビルの間などでも電波が届くため都市部でも運用されている。 |
バンド 21 (1500MHz) | 地方で運用されているバンド。高速 |
バンド 28 (700MHz) | プラチナバンド。 一部の地域のみで運用。 |
したがって、Redmi Note 3 Proにドコモ系のSIMを差した場合バンド1とバンド3が利用できることになります。
Redmi Note 3 Proがつかんでいる電波をNetwork Signal Guruというアプリで調べてみます。
私の住んでいる地域ではほとんど場合はバンド3、たまに、バンド1をつかむという感じでした。
今回の目標は、Redmi Note 3 Proでプラチナバンドであるバンド19を使えるようにすることでした。
プラチナバンド化の手順→失敗
今回やった手順を紹介しますが、結果として失敗だったため、簡潔に紹介します。
この手順は通常変更しない設定項目を変更する方法です。
操作ミスなどがあると通話やデータ通信ができなくなったり、最悪の場合は起動できなくなるかもしれません。
くれぐれも自己責任で実施してください。
手順は基本的にはFOMAプラスエリア化と一緒です。
異なる点は
- 使用するツールはDFS Studio 16.08.25を使う
- 変更するのは「LTE Band」
の2点です。
DFS Studio 16.08.25の導入
DFS Studioは下記からダウンロードできます。
私がアクセスしたときにダウンロードできたのは「Setup_DFS_Studio_16.08.25.0.zip」でしたので、これをダウンロードします。
ダウンロードしたzipファイルを展開するとexeファイルがありますので、そのexeファイルを実行するとDFS Studioをインストールすることができます。
インストールの途中で「User Information」を入力する画面がありますが、適当な内容で問題はないようです。
LTEバンドの変更
DiagモードにしたRedmi Note 3 ProをUSBケーブルでWindows PCと接続したら、DFS Studioをインストールしてできる「Qualcomm Tool」というツールを実行します。
最初にログインが画面が出ますが、右上の「×」を選択して閉じてしまってください。
無料でアカウントを登録できるようですので、登録してもよいと思います。
私は面倒なので、アカウントを作らずに進めてしまいました。
ログイン画面を無視して進めると、ポートの選択画面が表示されます。
正しくRedmi Note 3 Proが接続されていれば「Qualcomm HS-USB Android DIAG 901D」がリストアップされているはずなので、これを右クリックして「Connect」を選択してください。
あとは次の画面の1~6の順に操作します。
詳細な操作は次の通りです。
- ドロップダウンボックスから「Qualcomm HS-USB Android DIAG 901D」を選択する
- 「Band」のタブを選択する
- 「LTE」のタブを選択する
- 「Read」ボタンを押す。左側の「Band ・・・」という文字が濃くなるまで「Read」ボタンを何度か押してください。
- 「Band 19 800 Upper」のチェックボックスをオンにする
- 「Write」ボタンを押す
この作業が終わったら、Redmi Note 3 Proを再起動して作業完了です。
プラチナバンド化の検証
さて上記の手順でバンド19を有効化(したつもり)ので、実際にに通信できるかどうか試したいところです。
しかし、なかなか難しいので、次の手順で確認することにしました。
確認作業をした場所はバンド19の電波が飛んでいるという前提に立っています。
以前使っていたNexus5でバンド19をつかんだことを見たことあるので、たぶんこの前提は正しいと思っています。
- DFS Studioでバンド3を無効にして、バンド3をつかまないことを確認する。
これで、DFS Studioでのバンド変更がちゃんと実動作に反映されていることを確認したことになる。 - DFS Studioでバント1とバンド3を無効にして、バンド19をつかむかどうかを調べる
なお、Redmi Note 3 Proの有線ネットワークタイプ「LTE Only」ににしておきます。
バンド3を無効にした場合
DFS Studioでバンド3を無効にしてRedmi Note 3 Proを再起動してみると、それでもちゃんとアンテナが立ちました。
Network Signal Guruでつかんでいるバンドを確認してみると、バンド1のみが見えていました。
ちゃんと、DFS Studioでの変更は、実動作に反映されていることが分かりました。
バンド1とバンド3を無効にした場合
バンド1とバンド3を無効にし、バンド19を有効にしている状態ならば、バンド19でつながるはずです。
逆に言うとこれでつながらなければプラチナバンド化は失敗ということになります。
果たしてRedmi Note 3 Proを再起動してみると・・・・残念ながらアンテナは全く立ちませんでした。
念のためNetwork Signal Guruで状況を見てみると、なぜかバンド41を検索しているような状況で、バンド19という数値は一切出てきませんでした。
検証の結論と理由
検証した結果、DFS StudioでLTEのバンド19を有効にしても実際にはバンド19の電波はつかまない、というのが今回の結論です。
問題は、なぜ通信できないのかということです。
クアルコムのCPUでは、LTEは
- LTE BC Config : LTEでどのバンドが使えるかだけを管理する値。
- RFNV: LTEで通信する際に使用するパラメータ。端末メーカが調整するパラメータで、製品ごとに値が異なるらしい。
の二つで管理しています。この二つが各バンドに対して適切な値になっていないと、そのバンドでLTE通信ができません。
おそらくDFS Studioで書き換えたのは前者の「LTE BC Config」だけで、RFNVにはバンド19に関する情報が書き込まれていないため、バンド19で通信ができないのだと思います。
バンド19で通信できるようにするには、「Redmi Note 3 Pro用に調整されたバンド19に対応したRFNV」を入手しなければならず、これが事実上不可能なためRedmi Note 3 Proのプラチナバンド化は難しいのです。
日本国内向けのモデルとが発売されれば、そのRFNVを移植する手が使えるのですが、Xiaomiは日本に進出するつもりはないようなので期待は薄そうです。
まとめ
今回はRedmi Note 3 ProでドコモのプラチナバンドLTEを使えるようにトライして失敗したことを紹介しました。
DFS Studioで簡単にLTEバンドが書き換えられるようになったので試してみたのですが、そんなに世の中は甘くはありませんでした。やはりバンド1とバンド3で運用していくしかなさそうです。
次回はRedmi Note 3 Proの後継機(?)のRedmi Note 4を紹介したいと思います。
コメント
Nexus5(日本版)のプラスバンド化は海外版との差分のRFNVをコピーしたうえで有効化した記憶がありますが、RFNVファイル等はコピーしたのでしょうか?
若しくは本体のRFNVにBand19の設定ファイルが入っていたのでしょうか?
コメントありがとうございます。
タイトルに書いてあるようにLTEのプラチナバンド化は失敗しています。
失敗の理由は適切なRFNVがないからです(こちらも本文に記載の通りです)。
私はNexus5(D820:米国版)のLTEバンド3をアンロックしたことがあり、その時はD821(国際版)のRFNVを移植しました。
DFS StudioでLTEの設定が変更できるようになっても、ダメだろうなと思いつつ、試した結果がこの記事です。
バンド19をアンロックするには、バンド19に対応した兄弟機が発売されるのを待つ必要がありますね。
質問失礼します。
大変参考になりました。ありがとうございます。
ちなみにですが、Le max2でも同様に失敗しますかね?
コメントありがとうございます!
「バンド19に対応した兄弟機が存在」し、かつ「その兄弟機のRFNVデータ」が入手できたら成功するかもしれません。
逆にいうと、この両方がそろわないと難しそうです。
うまくいった例で有名なのは、Nexus5(D821)のプラチナバンド化ですが、
これは兄弟機の北米版Nexus5(D820)がバンド19に対応し、Nexus5(D820)のRFNVデータがインターネット上で共用されていたからできた芸当です。
ただLe Max2のスペックを見ると、結構多くのバンドに対応しているので、
もしかしたら本来はバンド19に対応していて、設定でバンド19を殺しているだけ、ということもあるかもしれませんが・・・
可能性は薄い気がします。
初めまして。
“「バンド19に対応した兄弟機が存在」し、かつ「その兄弟機のRFNVデータ」が入手できたら成功するかもしれません。
逆にいうと、この両方がそろわないと難しそうです。”
とのことですが、どうやら必ずしもそうとは限らないようです。
http://doroid.org/2016/11/10/moto-g4-play-add-lte-band-19/
こちらのサイトの記事によりますと、他社端末のものでも、SoCが同じであれば、RFNVの移植によってLTEバンドが追加できる可能性があるみたいです。
なので、同じSoCの端末でバンド19対応の端末(Xperia X、Xperia X Compact等)から移植することができれば、もしかするとRedmi Note 3 Proでもbadn19が掴めるようになるかもしれませんね。
情報ありがとうございます
確かに同じSoCのスマホのRFNVを移植できればバンドが追加できるかもしれませんね。
ただ、私はRFのエンジニアでないので詳細は把握できていないのですが、RFNVの内容はアンテナ配置や感度などよってメーカが調整するものなのかと思っていました。
なのでメカ的なデザインが似ている機種ならばRFNVが流用できる可能性があるけど、メカ的なデザインが異なると使えないか使えても感度に問題があるのかと思っていました。
ただ、Snapdragonのデータシートなどは公開されていないので、スマホ設計者以外は確かめようがないですね。
SoCでRFNVの値が統一されていればかなり希望がでるのですが・・・