NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その17 VPNで外部アクセスする (後編)

ネットワーク
スポンサーリンク

前回はSynologyのNASと持ち出し用のPCにTailscaleをインストールしました。

今回はこのTailscaleのVPNを活用して、SynologyのNASに外部からアクセスしたいと思います。

スポンサーリンク

前準備

詳しくは前回の記事で説明していますが、下記の状態までできているとします。

  • Tailscaleにアカウントを作成しておく
  • SynologyのNASにTailscaleのクライアントをインストールして、自分のアカウントで接続しておく
  • 持ち運び用のPCにTailscaleのクライアントをインストールして、自分のアカウントでセットアップしておく。

詳細は前回の記事を確認してください。

NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その16 VPNで外部アクセスする (前編)
今回はSynologyのNASに外部からアクセスするためにTailscaleのVPNサービスを導入します。TailscaleはSynology向けにパッケージを提供しており、簡単インストールすることができます。あとは持ち歩くPCにTailscaleをインストールして同じアカウントでサインインをすれば準備完了です。

SynologyのNASのTailscaleは常時に有効にしておいたほうが使いやすいと思います。

また、持ち運び用のPCが家庭内のLANに接続されているときは、当然ながらSynologyのNASに接続できているとします。

私の場合はネットワークドライブとしてSynologyのNASのホームディレクトリにアクセスできるようにしていますが、エクスプローラに「\Synology\home」のようなパスを入力アクセスできるようにしていてもOKです。

このパスの例はSynologyのNASのサーバー名を「Synology」としている場合です。

あるいはブラウザに「http://synology/」のようにSynologyのNASのサーバ名を入力してDiskStation Managerに接続してもOKです。

重要なのはIPアドレスではなく、SynologyのNASのサーバ名を利用してNASにアクセスしていることです。

スポンサーリンク

VPNを経由でのNASへの接続

まずは持ち運び用のPCをインターネットに接続しましょう。カフェやファミレスのWi-Fiでも大丈夫です。

つづいてTailscaleのVPNに接続します。

Tailscaleをインストールして設定を変更していなければ、自動的に接続している状態になっていると思います。

そして、TailscaleのVPNに接続している状態で、いつもどおりにSynologyのNASにアクセスします。

ネットワークドライブに割り当てているのであればそのネットワークドライブにアクセスすればよいですし、エクスプローラに「\synology\home」のようなパスを入力してもよいです。

とにかくいつもと同じようにアクセスするだけで、TailscaleのVPN経由でSynologyのNASにアクセスすることができます

つまり、VPN経由だからといって特別なことをする必要がありません。

あまりに簡単なので拍子抜けするぐらいです。

使用しているWネットワークの状態にもよりますが、家庭内のLANで使っているよりは若干レスポンスが悪く感じることもありす。それを差し置いても自宅のようにNASにアクセスできるというのはとても便利と思います。

VPN経由でのパフォーマンス

気になるのはTailscaleのVPNを介してアクセスする場合のパフォーマンスだと思います。

そこで、PCを家庭内のLANに設置し、SynologyのNASに対して直接アクセスする場合と、VPNを介して接続する場合で比較してみることにしました。

iperf3での比較

iperf3は通信速度を測定するためのツールです。

iPerf - The TCP, UDP and SCTP network bandwidth measurement tool
iPerf3 binaries - measuring TCP, UDP and SCTP bandwidth performance

詳細な説明は省略しますが、SynologyのNASにもiperf3はインストールすることができるので、iperf3を使ってTCP/IPの速度を比較してみることにしました。

プロトコルはTCP/IP (IPv4)で、30秒間測定してそのiperf3が出力する通信速度を採用しました。

結果は次のとおりです。単位は「Mbits/sec」です。

PC→NAS NAS→PC
家庭内LAN 950 949
VPN経由 71.2

iperf3での測定した通信速度は、TailscaleのVPNを介するとかなり遅くなることがわかります。

また、家庭内LANで接続しているときには安定して950Mbpsの通信し速度が出ているのですが、TailscaleのVPNを介した接続ではかなり通信速度がばらつく点も気になります。

下記はVPN接続時にSynologyのNASからPCへの転送速度を30秒間を測定したときの様子です。

> iperf3.exe -c 100.109.12.124 -t 30 -R
Connecting to host 100.109.12.124, port 5201
Reverse mode, remote host 100.109.12.124 is sending
[  5] local 100.93.152.78 port 60415 connected to 100.109.12.124 port 5201
[ ID] Interval           Transfer     Bitrate
[  5]   0.00-1.00   sec  16.8 MBytes   140 Mbits/sec
[  5]   1.00-2.00   sec  16.1 MBytes   135 Mbits/sec
[  5]   2.00-3.01   sec  25.1 MBytes   208 Mbits/sec
[  5]   3.01-4.01   sec  22.6 MBytes   190 Mbits/sec
[  5]   4.01-5.00   sec  21.4 MBytes   181 Mbits/sec
[  5]   5.00-6.00   sec  20.9 MBytes   175 Mbits/sec
[  5]   6.00-7.01   sec  18.1 MBytes   150 Mbits/sec
[  5]   7.01-8.01   sec  18.0 MBytes   151 Mbits/sec
[  5]   8.01-9.01   sec  17.2 MBytes   145 Mbits/sec
[  5]   9.01-10.00  sec  16.9 MBytes   143 Mbits/sec
[  5]  10.00-11.01  sec  15.5 MBytes   129 Mbits/sec
[  5]  11.01-12.01  sec  15.8 MBytes   133 Mbits/sec
[  5]  12.01-13.00  sec  3.75 MBytes  31.5 Mbits/sec
[  5]  13.00-14.00  sec  0.00 Bytes  0.00 bits/sec
[  5]  14.00-15.01  sec  1.00 MBytes  8.31 Mbits/sec
[  5]  15.01-16.01  sec  14.8 MBytes   124 Mbits/sec
[  5]  16.01-17.01  sec  25.1 MBytes   210 Mbits/sec
[  5]  17.01-18.01  sec  19.9 MBytes   167 Mbits/sec
[  5]  18.01-19.01  sec  21.1 MBytes   177 Mbits/sec
[  5]  19.01-20.01  sec  19.9 MBytes   167 Mbits/sec
[  5]  20.01-21.01  sec  19.4 MBytes   163 Mbits/sec
[  5]  21.01-22.01  sec  5.38 MBytes  45.2 Mbits/sec
[  5]  22.01-23.00  sec   128 KBytes  1.05 Mbits/sec
[  5]  23.00-24.02  sec  16.8 MBytes   139 Mbits/sec
[  5]  24.02-25.01  sec  22.5 MBytes   189 Mbits/sec
[  5]  25.01-26.02  sec  21.2 MBytes   178 Mbits/sec
[  5]  26.02-27.00  sec  19.9 MBytes   169 Mbits/sec
[  5]  27.00-28.01  sec  18.1 MBytes   152 Mbits/sec
[  5]  28.01-29.00  sec  15.1 MBytes   128 Mbits/sec
[  5]  29.00-30.00  sec  18.2 MBytes   153 Mbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval           Transfer     Bitrate         Retr
[  5]   0.00-30.00  sec   493 MBytes   138 Mbits/sec    2             sender
[  5]   0.00-30.00  sec   487 MBytes   136 Mbits/sec                  receiver

iperf Done.

1秒ごとに通信速度が表示されていますが0~210Mbpsでかなりブレがあることがわかると思います。

CrystalDiskMarkでの比較

CrystalDiskMarkはストレージのリード・ライト速度を測る定番のベンチマークソフトです。

CrystalDiskMark - Crystal Dew World [ja]
各種ストレージ (HDD, SSD, USBメモリなど) の速度を測定するベンチマークソフトです。 ダウンロー

NASのドライブもネットワークドライブとして割り当てておけば、CrystalDiskMarkによってリードライト速度を測ることができます。

まず家庭内LANで接続した場合の結果です。

家庭内LANで接続した場合の結果

続いてTailscaleのVPNを介して接続した場合の結果です。

VPNを介して接続した場合の結果

iperf3のときと同様にパフォーマンスは低下しました。

特にシーケンシャルリード・ライトで大幅に低下しているので、VPN経由での接続時に大きなデータの読み出し・書き込みなどではストレスを感じる可能性があります。

例えば、NASに格納しているRAW画像データの現像や、画像を大量に貼り付けたパワーポイントファイルの編集などはちょっと厳しいかもしれません。

一方、ランダムリード・ライトはもともとがそれほど高い数値でもないので、VPN経由としても大幅な低下はありません。

細かいデータのやり取りならば、外出先でも自宅で行うのに近い感覚で使えそうです。

実際、私はこのブロクを作成するための画像データやテキストデータをNASにおいていますが、外出先でも自宅にいるときと同じような感じで記事の作成ができました。

まとめ

今回はSynologyのNASにTaiscaleをインストールしてVPN経由で接続してみました。

Tailscaleを使うと外出先でもいつもと同じようにSynologyのNASを利用することができて大変快適です。アクセス速度はそれなりに低下しますが、大規模のファイルの読み書きでなければ十分使えるのではないかと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました