NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その16 VPNで外部アクセスする (前編)

ネットワーク
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前回はスマートフォンのバッテリーを交換したことを紹介しました。

今回はまたまたSynologyのNASについてです。ちなみに前回のSynologyのNASに関する記事は下記になります。

NASキット Synology DiskStation DS220jで遊ぶ その15: 2.5GbE化にチャレンジする 後編
今回は2.5G USB Ethernetを使って2.5GbE化したDS220jの実力を確認してみます。DS220jからみて受信方向では期待通りの転送速度向上が見られたのですが、反対側の送信方向では通信がすぐに止まってしまうという不安定なものとなりました。調べてみるとこの問題はCPUにrtd1296を採用したDiskStationで見られる問題でこの記事作成時点では解決方法がないようで、非常に残念な結果となりました。
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SynologyのNASへの外部アクセス

SynologyのNASは通常は家庭内などのLANないからアクセスするのが一般的な使い方です。しかし、NASにいろいろなデータを貯めてくると外出中にもNASにアクセスしたくなるものです。

このような要望に対し、SynologyはQuick Connectという機能を提供しています。

QuickConnect | DSM - Synology ナレッジセンター
Synologyナレッジセンターは、総合的なサポートをお届けするもので、よくある質問に対する回答の提供、トラブルシューティング手順、ソフトウェア チュートリアル、そして必要になるすべての技術文書が提供されます。

Quick Connectを利用するとSynologyのサーバを介して、インターネットからNASにアクセスできるようになります。この場合はブラウザを使ってNASのファイルにアクセスすることになります。

一方、家庭内LANのパソコンからNASにアクセスする場合は、SMBというプロトコルを使うことで、エクスプローラ上でNASのファイルにアクセスするのが一般的です。

「ネットワークドライブとしてアクセスする」という方がわかりやすいかもしれません。

すなわち、Quick Connectを使うと、いつもととは違う使い勝手を強いられることになります。

一方、Quick Connectのようなサーバー経由ではなく、SynologyのNASをVPNサーバーにして直接外部からのアクセスを可能にするという方法もあります。

Synology NASをVPNサーバーとして設定するには? - Synology ナレッジセンター
Synologyナレッジセンターは、総合的なサポートをお届けするもので、よくある質問に対する回答の提供、トラブルシューティング手順、ソフトウェア チュートリアル、そして必要になるすべての技術文書が提供されます。

SynologyのNASをVPNサーバにする場合は、使用するプロトコルについては実質制限はありませんが、なかなか設定が難しいのが難点です。

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VPNサービスのTailscale

今回、活用しようと思っているのは「Tailscale」というVPNサービスです。

Tailscale · Best VPN Service for Secure Networks
Securely connect to anything on the internet with Tailscale. Built on WireGuard®️, Tailscale enables you to make finely configurable connections, secured end-to-end according to zero trust principles, between any resources on any infrastruc...

Tailscaleは海外のサービスのため、Webサイトは全て英語になっています。

概要を知るためにはInternet Watchの記事を見るとよいでしょう。

100台まで無料のVPNサービス「tailscale」、リンクだけでマシンのシェアも可能!?【イニシャルB】
とにかく手軽にVPN接続環境を整えたいのであれば、これほど優れたサービスはほかにない。ユーザーがやることは3つだけで、オフィス-社員宅間や拠点間接続など、WireguardベースのフルメッシュVPNを即座に構築できる。

このTailscaleを使うと

  • Googleアカウントなどでサインインして
  • リモート接続したいデバイスにTailscaleのクライアントをインストールするだけ

で、自分だけのVPNを構築できることになります。

今回はこのTailscaleを使ってSynologyのNASに外部からアクセスできるようにしたいと思います。

Tailscaleへのサインアップ

TailscaleのVPNサービスを使うためには、なにはともあれユーザ登録(サインアップ)が必要です。

Tailscale · Best VPN Service for Secure Networks
Securely connect to anything on the internet with Tailscale. Built on WireGuard®️, Tailscale enables you to make finely configurable connections, secured end-to-end according to zero trust principles, between any resources on any infrastruc...

Tailscaleのサイトにアクセスして「Get Started」を選択しましょう。

Get Started

次にサインアップするために利用する認証サービスをを選択します。Tailscaleは独自のアカウント管理はしておらず、何らかのサードパーティのアカウント認証の利用が必須になります。

認証プロバイダの選択

私の場合はGoogleアカウント(Sign up with Google)を選択しました。

次に利用するGoogleアカウントを選択します。

Googleアカウントの選択

あとはGoogleアカウントにログインするだけす。

Googleアカウントへのログイン

いつもGoogleアカウントを使っているブラウザなら「次へ」だけでログインできるはずです。

ログインできたら次のような画面になります。

Tailscaleの管理画面

サインアップした段階で、自分専用のVPNがTailscale上に用意されますが、まだなにもこのVPNに接続していないので何も表示されていません。

SynologyへのTailscaleのインストール

今回はSynologyのVPNに外部から接続したいので、SynologyのNASにTailscaleのクライアントをインストールし、TailscaleのVPNに接続します。

実はSynologyのNASにはTailscale用のパッケージが提供されています。

Tailscale - アドオン パッケージ | Synology Inc.
Connect all your devices using WireGuard, without the hassle.

管理者アカウントでDSMにログインし、パッケージマネージャで「tailscale」と入力するとパッケージが表示されます。

Tailscaleのパッケージ

パッケージが見つかったら「インストール」を選択するだけで、インストールが完了するはずです。

インストール完了として表示されたら「開く」を選択します。

インストール完了したTailscaleのパッケージ

まだインストールしただけなので初回は次のような画面が表示されるはずです。

初回起動時

この画面が表示されたら「Reauthenticate」を選択して、認証しましょう。

認証は画面にそっておこなっていけばOKです。まずは使用する認証サービスを選択します。

認証サービスの選択

サインアップ時に選択したものを選べばOKです。私の場合は「Sign in with Google」を選択しました。

次にGoogleアカウントを選択します。

Googleアカウントの選択

認証に成功すると次のように、TailscaleのVPNにデバイスを接続するための画面が表示されます。

デバイスの接続

メッセージの部分に「SynologyのNASの名前」と「Tailscaleにサインアップしたメールアドレス」が表示されていることを確認しましょう。

またこの画面で「Device details」を選択すると接続しようとしているデバイス(今回はsynologyのNAS)の情報が表示されます。SynologyのNASの場合はOperating systemは「linux」になります。

デバイスの詳細情報

接続しようとしているデバイスに問題なければ「Connect」を選択しましょう。

すると次のような画面が表示されるはずです。

接続成功

これでSynologyのNASがTailscale上に構築された自分専用のVPNに接続されました。

しばらくするとTailscaleの管理ページにリダイレクトされ、SynologyのNASがVPNに接続されていることが表示されます。

Tailscaleの管理画面

私の場合は、SynologyのNASには「100.109.12.124」というIPアドレスが割り当てられています。このIPアドレスはTailscaleのVPN内で使われているIPアドレスとなります。

ちなみに、SynologyのDSMに戻り、Tailscaleパッケージを起動すると、VPNへの接続状況や自分に割り当てられたIPアドレスが表示されます。

Tailscaleパッケージの画面

PCへのTailscaleのインストール

つぎにリモートからSynologyのNASに接続したいPCにTailscaleをインストールします。基本的には持ち歩くことになるノートPCなどが該当するはずです。

私の場合はMicrosoftのSurface Pro 7にTailscaleをインストールすることしました。

Microsoft Surface Pro 7で遊ぶ その2: 入手
今回はアメリカから個人輸入したSurface Pro 7を紹介します。アメリカで売られているものではありますが、日本向けのロゴが確認できることから、おそらくハードウェア的には日本で売られているものと同一ではないかと思います。日本語配列タイプカバーだけ日本で購入してしまえばハード的には日本で使う準備はOKです。

まず、Tailscaleのサイトから「Tailscale for Windows」をダンロードします。

Download · Tailscale
Tailscale is a zero config VPN for building secure networks. Install on any device in minutes. Remote access from any network or physical location.

ダンロードリンク

これで「tailscale-setup-1.70.0.exe」というような実行ファイルがダウンロードできます。

ダウンロードしたそのファイルをダブルクリックしてインストールを開始します。

インストーラのアイコン

インストーラが起動すると最初にライセンスの確認画面になります。

インストールの開始

「license terms」でライセンスを確認したら「agree to the license terms and conditions」にチェックして「Install」を選択します。

しばらくするとインストールが完了し、次のような画面になります。

インストールの完了

インストールが完了すると、タスクバーのシステムトレイにTailscaleのアイコンが現れるます。

システムトレイのアイコン

このアイコンを右クリックして「Log in」を選択しましょう。

Loginを選択

するとWebブラウザが起動してサインインが求められますので、Tailscaleにサインアップしたのと同じ方法を選択します。

私の場合は「Sign in with Google」を選択します。

Googleアカウントでサインイン

認証に成功すると次のように、TailscaleのVPNにデバイスを接続するための画面が表示されます。

接続の確認

メッセージの部分に「接続しようとしているPCの名前(今回はSurfacePro7)」と「Tailscaleにサインアップしたメールアドレス」が表示されていることを確認しましょう。

そして「Connect」を選択すると、PCがTailscale上に構築された自分専用のVPNに接続されます。

接続完了

Tailscaleのサイトにログインすると接続中のデバイス一覧にTailscaleをインストールしたPCが追加されています。

Tailscaleの管理画面

これでPCへのTailscaleのインストールは完了です。

まとめ

今回はSynologyのNASに外部からアクセスするためにTailscaleのVPNサービスを導入しました。

TailscaleはSynology向けにパッケージを提供しており、簡単インストールすることができます。あとは持ち歩くPCにTailscaleをインストールして同じアカウントでサインインをすれば準備完了です。

次回は実際にTailscaleのVPNを介してSynologyのNASに接続します。

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