Wi-Fiルーター WXR-1750DHPを導入する その3: ルーティング性能をチェック!

ネットワーク
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前回はWi-Fiルーター WXR-1750DHPのWi-Fi性能をチェックしてみました。

今回はWi-Fiルータのルーティング性能を確認したいと思います。ここではルーティング性能とは対インターネットでローカル(家庭内)の機器がどれくらいの速さで通信できるか、ということを指しています。

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機材・条件

性能をチェックするために使用した機材を紹介しておきます。

Wi-Fiルーターは下記の2台です。

またクライアントについてはWindows10のPC1台とスマホを用意しました。スマホは当サイトでも紹介したXiaomi Redmi Note 4です。

Redmi Note 4は中華スマホでWi-Fiは802.11a/b/g/n/ac対応です。しかし、2×2には対応していないので最大433Mbpsだと思います。Redmi Note 4のCPUはMediaTek Helio X20なのでミドルクラスと考えてください。

通信速度の測定にはSpeednet.netというサイトを利用しました。

Windowsがクライアントの場合は、ChromeでSpeednet.netにつなげて速度測定をしますが、クライアントがスマホのときはSpeednet.netのアプリを使用しました。

Speedtest - インターネット速度
Speedtest - インターネット速度
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測定環境

測定環境を図にすると次のような感じです。

測定環境

Wi-Fiルータは1000Mbpsのフレッツ光ネクストでインターネットとつながっています。

インターネットの混雑を避けるために本当は測定は深夜や早朝に行うべきなのですが、測定の都合上、平日の夕方に行いました。それほど混んでいる時間帯ではないと思うのですが、インターネット上のトラフィックの影響は受けていますのであくまでも参考としてみてください。

また、Windows10 PCでのセキュリティソフトのリアルタイムスキャンは通信速度に影響するのでオフにしてあります。

AirStation WXR-1750DHPの後継モデルはWXR-1751DHP2になります。

ルーティング性能の調査

それでは条件を変えてインターネットとの通信速度を測定してみたいと思います。

以降では通信速度の単位はすべてMbpsです。

また、「送信」というときはクライアントからの送信(アップロード)、「受信」はクライアントへの受信(ダウンロード)を表します。

通常は受信することが多いので「受信」の速度を注目するとよいと思います。

クライアント数=1での送受信 (Ethernet)

同時に通信するクライアント数を1つに限定して送受信速度(ダウンロード・アップロード速度)を測定してみました。

まずはEthernet接続のWindows 10がクライアントの場合です。Ethernetが1000Baset-T(Giga Ethernet)と高速なので、この測定結果が私の環境でインターネット通信する際の最高速度と考えて良いと思います。

また、WXR-1750DHPとWG600HPの両方ともにLANが1000Base-T対応なので、公平な条件となります。

クライアント数=1での送受信 (Ethernet)

測定結果は次の通りです。

WXR-1750DHP WG600HP
受信 送信 受信 送信
1回目 580.62 696.55 638.77 773.73
2回目 542.26 646.23 593.17 745.38
3回目 534.85 672.40 578.21 696.64
平均 552.58 671.73 603.38 738.58

結果を比較するとWG600DPのほうがWXR-1750DHPより通信速度が速いという結果となっています。WXR-1750DHPについては時間を変えて何度か測定してみたのですが、WG600HPの結果を安定して超えるようなことはありませんでした。

このこことから見るとルーティング性能はWG600HPのほうが優秀であることが分かります。WXR-1750DHPのほうが新しく高価な製品も関わらず遅いのは残念なところです。

クライアント数=1での送受信 (Wi-Fi)

次にクライアントをWi-Fi接続のスマートフォン(Redmi Note 4)とした場合です。この場合、WXR-1750DHPに対しては802.11ac接続、WG600DHに対しては802.11n接続となりますので公平な条件ではありません。

また、インターネット側の回線のほうが高速なので、Wi-Fi側の通信速度が上限となります。

クライアント数=1での送受信 (Wi-Fi)

結果は次の通りです。

WXR-1750DHP
(802.11ac)
WG600HP
(802.11n)
受信 送信 受信 送信
1回目 180.44 246.31 100.18 116.82
2回目 190.45 246.08 98.54 96.28
3回目 187.05 240.44 98.4 115.33
平均 185.98 244.28 99.04 109.48

使用しているWi-Fiの規格が違うので当然といえば当然ですが、WXR-1750DHPのほうが送受信とも約2倍高速なことが分かります。

やはり802.11acの効果は絶大です。

クライアント数=2での送受信 (Ethernet)

同時に通信するクライアントを2つに増やして送受信速度(ダウンロード・アップロード速度)を測定してみました。

まずはEthernet接続のWindows10をクライアントとして、ブラウザを2つ起動して同時にspeednet.netで測定を行いました。Ethernet接続の場合、WXR-1750DHPとWG600HPの条件は同じになります。

クライアント数=2での送受信 (Ethernet)

結果は次の通りです。表が大きくなってしまうので二つに分割しています。

WXR-1750DHP
ブラウザ1 ブラウザ2 合計
受信 送信 受信 送信 受信 送信
1回目 493.37 408.45 118.57 390.59 611.94 799.04
2回目 302.02 385.59 275.43 386.43 577.45 772.02
3回目 380.21 401.41 191.84 403.18 572.05 804.59
平均 391.87 398.48 195.28 393.40 587.15 791.88
WG600HP
ブラウザ1 ブラウザ2 合計
受信 送信 受信 送信 受信 送信
1回目 522.89 652.11 19.00 103.26 541.89 755.37
2回目 445.96 705.43 76.06 89.99 522.02 795.42
3回目 430.32 616.18 76.98 101.66 507.30 717.84
平均 466.39 657.91 57.35 98.30 523.74 756.21

まずWXR-1750DHPとWG600HPで動作に違いが出ました。WG600HPの方がブラウザ1とブラウザ2の結果の差が大きくなっています。

同時に測定を実行といっても、マウスで順次測定開始をしているため厳密にはブラウザ1の測定のあとにブラウザ2の測定を開始しています。WG600HPは先に通信を始めたほうが通信を占有してしまう傾向があるようです。

また、Wi-Fiルーターとしての実力を比較するときには、ブラウザ1とブラウザ2の通信速度の合計を見たほうが良いでしょう。合計で比較すると、クライアント数=1のときとは異なり、WXR-1750DHPのほうが高速になっています。

おそらくWXR-1750DHPはデュアルコアCPUのため、同時に通信が発生するケースは有利なのではないかと思います。

ようやくWi-Fiルーターを買い替えた価値が出てきました。

クライアント数=2での送受信 (Ethernet + Wi-Fi)

今度は二つのクライアントをEthernetとWi-Fiのひとつづつにして測定を行いました。

クライアントはEthernet接続のWindows10とWi-Fi接続のスマホ(Redmi Note 4)でとして、同時にSpeednet.netで測定を行いました。ただ、スマホでの測定はSpeednet.netアプリで行った都合で、Ethernet側の測定よりもかなり終わてしまいました。したがって、Ethernet側の測定の後半(送信速度の測定)は単独で動いていたことになります。

クライアント数=2での送受信 (Ethernet)

結果は次の通りです。

WXR-1750DHP WG600HP
Ethernet Wi-Fi Ethernet Wi-Fi
受信 送信 受信 送信 受信 送信 受信 送信
1回目 466.36 698.58 137.42 238.37 552.89 652.11 19.00 103.26
2回目 430.48 715.56 157.81 245.18 445.96 705.43 76.06 89.99
3回目 475.54 707.92 86.07 238.18 430.32 616.18 76.98 101.66
平均 457.46 707.35 127.10 240.58 476.39 657.91 57.35 98.30

結構評価が難しいところです。

Ethernetでの受信速度に着目するといずれも通信速度が低下しています。ただ、Wi-Fiの送信速度と合計するとWXR-1750DHPは584Mbps、WG600HPは533MbpsとなるのでEthernetを2本通信したときと同等の結果となります。

Ethernet接続で二つのクライアントを動かしたときと同様に、合計した受信速度はWXR-1750DHPのほうが早くなっています。やはりデュアルコアの効果でしょうか。

クライアント数=3での送受信 (Ethernet)

さらに同時に通信するクラアント数を増やしてみました。

こもれEthenret接続のWindows10をクライアントとして、ブラウザを3つ起動して同時にspeednet.netで測定を行いました。

クライアント数=2での送受信 (Ethernet + Wi-Fi)

結果は次の通りです。表が大きくなってしまうので二つに分けています。

WXR-1750DHP
ブラウザ1 ブラウザ2 ブラウザ3 合計
受信 送信 受信 送信 受信 送信 受信 送信
1回目 290.74 334.00 320.08 280.20 44.26 322.54 655.08 936.74
2回目 325.68 391.76 40.96 371.45 278.09 60.59 644.73 823.80
3回目 305.68 408.81 68.92 352.01 209.21 85.78 583.81 846.60
平均 307.37 378.19 143.32 334.55 177.19 156.30 627.87 869.05
WG600HP
ブラウザ1 ブラウザ2 ブラウザ3 合計
受信 送信 受信 送信 受信 送信 受信 送信
1回目 153.28 119.04 265.72 232.47 253.32 469.16 672.32 820.67
2回目 278.61 229.75 219.92 224.90 136.24 397.30 634.77 851.95
3回目 340.59 297.64 128.47 266.04 68.97 260.77 538.03 824.45
平均 257.49 215.48 204.70 241.14 152.84 375.74 615.04 832.36

ブラウザを2つ起動して測定したときと比較すると、WXR-1750DHPとWG600HPの両方で合計の通信速度が上がっています。これはブラウザを起動していたWindows10マシンがマルチコアだったため効率よく処理できたのではないかと思います。

また、受信速度・送信速度のそれぞれの合計を見ると、クライアント数=2のときと同様にWXR-1750DHPのほうが早くなっています。

このことからやはりWXR-1750DHPのほうが複数の通信を同時にこなす能力が高いということができます。しかし、私の予想ではもっと差が出ると思いましたが、その差はクライアント数=2のときとそれほど変わりません。WG600HPは古いWi-Fiルーターですが結構優秀なのだと思います。

Wi-Fi使用中にEthernetでの送受信

Wi-FiとEthernetを同時に使った時の影響を見るために少し状況を変えてみました。

アクセスポイントに接続したスマホのYouTubeアプリで4Kのビデオを見つつ、Ethernetで接続したWindows10でspeednet.netで測定してみました。

クライアント数=3での送受信 (Ethernet)

結果は次の通りです。

WXR-1750DHP WG600HP
受信 送信 受信 送信
1回目 529.84 665.57 571.97 672.89
2回目 493.27 624.71 631.58 661.58
3回目 423.86 536.99 573.62 648.86
平均 482.32 609.09 592.39 661.11

この処理ではWi-FiルーターのCPUがWi-Fiとルーティング処理を両方やらなければならいので、予想はWXR-1750DHPのほうが有利ではないかと思ったのですが、予想に反して送受信ともWG600HPのほうが好成績でした。

特に「クライアント数=1での送受信 (Ethernet)」の結果と比較すると、WXR-1750DHPは送受信とも15%ほど低下しているのに対し、WG600HPは受信では低下がなく送信でも10%程度の低下にとどまっています。

WG600HPでこの優秀さだとすると、高速な環境を構築したい場合はNECの上位機種を入手するのが正解なのかもしれません。

グラフでの比較

もう少し傾向を見るために、Ethernet接続のWindows10をクライアントとしたときに、通信ストリームの数(測定に使ったブラウザの個数)と通信速度でグラフにしてみました。

まずは受信のグラフです。WXR-1750DHPはクライアントが増えるにつれ合計スループットも増加していますが、WG600HPについてはクライアント数2のときにスループットが落ち込んでいるのが気になります。ただ、クライアント数3で増加しているので測定のタイミングが悪かったのかもしれません。

受信速度のグラフ

次に送信のグラフです。こちらは両社ともクライアントが増えるに応じて合計スループットは向上しています。クライアント数が1のときにはWG600HPのほうが高速ですが、クライアント数2と3ではWXR-1740DHPが逆転しています。

送信速度のグラフ

これだけで断言することはできませんが、WXR-1750DHPとWG600HPを比較するとWXR-1750DHPの方が同時に通信が発生する環境に強い可能性が高いです。

AirStation WXR-1750DHPの後継モデルはWXR-1751DHP2になります。

まとめ

今回はWXR-1750DHPの性能をルーティング性能をチェックするために複数のクライアントで同時に通信速度を測定してみました。

測定結果から推察すると、これまで使っていたNEC WG600HP対し、WXR-1750DHPのほうが同時に通信が発生する状況で高速な通信ができるようです。しかし、その差はあまり大きくなく、NECのWi-Fiルーターの優秀さが垣間見える結果ともいえるかもしれません。

次回はもう少し違うパターンでの測定結果を紹介します。

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