前回はWordPressのパッケージをアップグレードする前に必要なデータをバックアップしたことを紹介しました。
wheezyにjessieのWordPressのパッケージをインストールするとlibc等の重要なパッケージも合わせてアップグレードされてしまうので、WordPress以外のデータもすべてバックアップしました。
今回はいよいよWordPressパッケージをアップグレードします。
安全性
そもそもjessieのWordPressパッケージをwheezyで使うことは安全なのか、気になります。
「–no-ac」をオプションをつけてapt-getコマンドを実行したところエラーが出なかったので、パッケージ管理システム上は問題がないようです。
気になるのはlibcパッケージも一緒にアップグレードされてしまうことですが、ネットを検索したところwheezyにjessieのlibcパッケージを入れて利用されている方はいるので大丈夫そうです。
もう一点気になるのは、このブログがServersMan@VPSというVPSサービス上で稼働していることです。ServersMan@VPSではVPSシステムとしてOpenVZというシステムを使っています。Linuxカーネルは固定されており、バージョンは2.6.32とかなり古いものです。
この問題については調べても情報を発見することができませんでした。OpenVZとjessieという組み合わせの情報も発見できず、jessieとカーネル2.6.32という組み合わせも見つけられません。jessieのカーネルの最少要件は2.6.32という情報も発見しましたが、2013年10月時点の情報であり不確実です。
結構悩ましいところですが、ブログにここまで書いてしまったので、決行することにしました。
WordPressパッケージのインストール
というわけで、覚悟を決めてjessie用のWordPressのパッケージをインストールします。インストールにはapt-getコマンドあるいはaptitudeコマンドを用いますが、「-tオプション」で「jessie」を指定するのがポイントです。
apt-get install -t jessie wordpress
パッケージリストを読み込んでいます... 完了 依存関係ツリーを作成しています 状態情報を読み取っています... 完了 以下のパッケージが自動でインストールされましたが、もう必要とされていません: libphp-snoopy php5-cli tinymce これを削除するには 'apt-get autoremove' を利用してください。 以下の特別パッケージがインストールされます: libao-common libao4 libc-dev-bin libc6 libc6-dev libcurl3-gnutls libffi6 libflac8 libgmp10 libgnutls-deb0-28 libhogweed2 libjs-jquery libjs-mediaelement libnettle4 libogg0 libp11-kit0 libphp-phpmailer librtmp1 libspeex1 libtasn1-6 libvorbis0a libvorbisenc2 libvorbisfile3 php-getid3 vorbis-tools wordpress-l10n wordpress-theme-twentyfifteen 提案パッケージ: libaudio2 libesd0 libesd-alsa0 libpulse0 glibc-doc gnutls-bin speex 以下のパッケージは「削除」されます: locales 以下のパッケージが新たにインストールされます: libao-common libao4 libcurl3-gnutls libffi6 libflac8 libgnutls-deb0-28 libhogweed2 libjs-jquery libjs-mediaelement libnettle4 libogg0 librtmp1 libspeex1 libtasn1-6 libvorbis0a libvorbisenc2 libvorbisfile3 php-getid3 vorbis-tools wordpress-theme-twentyfifteen 以下のパッケージはアップグレードされます: libc-dev-bin libc6 libc6-dev libgmp10 libp11-kit0 libphp-phpmailer wordpress wordpress-l10n アップグレード: 8 個、新規インストール: 20 個、削除: 1 個、保留: 443 個。 17.8 MB のアーカイブを取得する必要があります。 この操作後に追加で 1,959 kB のディスク容量が消費されます。 続行しますか [Y/n]?
「y」を入力してしばらく待っていると、無事にインストールが完了しました。とりあえずパッケージの依存関係が壊れるというようなことはないようです。
データベースのアップデート
アップデート直後にWordPressの管理画面にアクセスすると次のような画面が出ます。
「WordPressデータベースを更新」をクリックすると、更新はすぐに完了して次の画面が表示されます。
ここで「続ける」をクリックすると通常通り設定画面にログインできるはずです。
WebサーバとPHPの再起動
私の場合ダッシュボードにログインしたところ、統計情報などがエラーで表示されませんでした。念のためWebサーバ(nginx)とPHP(php5-fpm)を再起動したところ復活しました。
service nginx restart service php5-fpm restart
他のパッケージの調整
WordPressのパッケージをインストールするときに削除されてしまったlocalesパッケージは必要なののでインストールしなおしておきます。このパッケージはlibcパッケージと合わせた方がよいのでjessieのものを入れておきます。
apt-get install –t jessie locales
さらに、提案パッケージのうちgnutls-binというパッケージは暗号通信に必要そうなので入れておきます。
apt-get install gnutls-bin
最後に不要になったパッケージをアンインストールしておきます。
apt-get autoremove
私の場合は「libphp-snoopy」「php5-cli」「tinymce」が削除されました。
まとめ
今回はDebian wheezyの環境でWordPress4.xを利用するためにjessieのWordPressパッケージをインストールしました。
WordPress以外のパッケージの互換性についてちょっと心配だったのですが、思い切って実行してみた結果無事にインストールすることができました。しばらくこれで運用してみたいと思います。
次回はこのブログのテーマSimplicityをアップデートします。
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