前回はRTX3060MというGPUを搭載したグラフィックスカードのベンチマークを紹介しました。
今回はこのグラフィックスカードをしばらく使った感想を紹介します。
入手性
RTX3060MというGPUを搭載するというある意味、非正規な製品のため、このグラフィックスカードの入手性はかなり悪いです。
Amazonや楽天などで入手するのはまず不可能で、AliExpressなどの海外通販を利用することになります。
また基本的に「新品」を入手することは難しく、基本的には「Refurbished」「再生品」となるのではないかと思います。というのもノートPC・ラップトップPCのパーツを流用してグラフィックスカードを製造している可能性があるためです。
私は下記の製品(現在は在庫切れ)を購入しましたが、説明には「Refurbished」の文字はなかったものの、新品かどうかは確信が持てません。
AliExpressで「RTX3060M 12GB」で検索すると、RTX3060Mのグラフィックスカードは表示されたり、翌日にはされなかったりするため、供給も安定していないようです。
RTX3060M搭載で比較的入手性が高そうなのは下記の製品ですが、それもいつまで売っているかはわかりません。
国内でデスクトップ向けのRTX3060 12GBのグラフィックスカードを探すと安いものだと43,000円ぐらいから見つかるので、入手性の悪いRTX3060Mのグラフィックスカードをあえて買うのはよほどのもの好きと言えるでしょう。
使いやすさ
入手性の悪さをなんとかしてRTX3060MのGPUのグラフィックスカードを入手しても、すぐに使えるわけでありません。
NVIDIAの公式ドライバを導入しようとしても、システムチェックで弾かれて導入することができません。
結局、フランケンシュタインドライバという怪しげなドライバを導入する必要があります。
一度、フランケンシュタインドライバを入れると、NVCleanstallで修正したNVIDIAのドライバを使えるようになりますが、手順はなかなか面倒です。
これらの手段で一度ドライバをインストールしてしまえば、あとは普通に使えるのですが、ドライバを更新する事にNVCleanstallを使う必要があります。
このドライバの面倒くささの一点で、RTX3060Mのグラフィックスカードは使いにくいと言えると思います。
ただ、グラフィックスカードがコンパクトなことと、出力が4系統(DP×2、HDMI×2)があるのは高評価です。
静音・低消費電力
このグラフィックスカードで誇れるところというと、低消費電力と静音の2点です。
前回紹介したように、ファイナルファンタジーXVのベンチマークの実行中の消費電力は75W程度でした。
NVIDIAコントロールパネルのシステム情報を見ると、最大グラフィックスパワーは「80W」と表示されているので、これと整合しています。
ゲーミングGPUというと数百ワットを消費するという話もあるので、RTX3060Mは低消費電力なGPUと言えるのではないかと思います。
電気代が高止まりしている昨今では、これは嬉しい特徴です。
また、消費電力が少ないということから、冷却ファンの回転速度も抑えられています。ファイナルファンタジーXVのベンチマークの実行中のファンの回転速度は多少の上下はあるものの概ね1260RPM程度でした。
そして、ファンの回転速度がこの程度だと、騒音はかなり抑えられることになります。
環境によるとは思いますが、ミドルタワーケースに入れて机の下に設置したところ、ファンの騒音は聞こえません。
以前使用していたGTX1660 Superのグラフィックスカードはファンの音が気になる事があったので、RTX3060Mのグラフィックスカードに替えてから快適にになりました。
AI向け?
このRTX3060Mのグラフィックスカードの使い所といえば、12GBのVRAMを搭載していることからAI・機械学習ではないかと思います。
デスクトップ版のRTX3060 12GBのグラフィックスカードも、VRAM容量を理由に、AI・機械学習用におすすめされることが多いです。
実際、「Stable Diffusion Web UI(AUTOMATIC1111)」をセットアップしたところ、デフォルトの設定において4秒台で画像の生成をすることができました。
この処理時間なら何度でも画像生成を試すことができます。
上位なGPUであればもっと高速に画像を生成することができると思うのですが、3万円前半というグラフィックスカードの価格を考えると、RTX3060Mのグラフィックスカードはなかなか良い選択ではないかと思います。
ドライバのインストールは面倒なものの、AI・機械学習の入門用にグラフィックスカードとしては価値がありそうです。
まとめ
今回はRTX3060MというGPUを搭載したグラフィックスカードをしばらく使った感想を紹介しました。
非正規なHW構成であることから入手性やドライバのインストールに課題があるものの、静音性や低消費電力という面ではメリットを感じます。また、搭載VRAMが12GBと大きいことから機械学習・AIの入門用としても使えそうです。
怪しげなグラフィックスカードではありますが、しばらく使ってみようと思います。
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