以前、キヤノンのミラーレスカメラEOS R10を購入したことを紹介しました。

安い品ではないですし、大事に使ってきたのですが、残念なことに先日落下させてしまいました。
今回はこの顛末を紹介したいと思います。
カメラの状況
まず落下したときのカメラの状態を紹介しておきます。
ストラップ
今回の落下事件の主役であるため、まずはストラップを紹介します。
私はEOS R10に付属のストラップを使わずにBLACKRAPID(ブラックラピッド)というブランドの速射ストラップを利用しています。
私の場合は「RS-7」という型番を使っていますが、現在は販売終了のようなため、ここでは「RS-4」を紹介しています。

このストラップの特徴は
- カメラの三脚穴に金具(カラビナ)を装着する
- ストラップは斜めがけにする
- カメラと接続している金具は自由にスライドする
となります。この機構によりカメラをすぐに構えることから「速写ストラップ」とも呼ばれています。
下記のレビュー記事がイメージしやすいかと思います。

私はBLACKRAPID RS-7を2012年2月に購入しており、なんと13年以上も使ってきたことになります。
実は先代のEOS 80Dを利用している頃に、BLACKRAPIDのストラップからカメラを落下させたことがあります。
このときはBLACKRAPIDのストラップのカラビナが緩んでおり、そのせいでストラップからカメラが外れてしまいました。
それ以来はカメラを使うときはストラップのカラビナ部分を必ずチェックするようにしています。
レンズ
レンズは何種類か持っていますが、このときはSIGMAの「SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」というレンズをマウントアダプターを介して利用していました。
これ一本で18mmから300mmまで撮影できる超便利なレンズです。光学手ぶれ補正機能を搭載しており、300mmという長距離撮影でも手ぶれを軽減してくれます。

ただ、残念ながらこのレンズは販売を終了しており、現時点では中古でしか入手できません。
被写体との距離が読めないときはとりあえずこのレンズを装着するときが多く、このときもそんな状況でした。
なお、この写真ではレンズフードはついておりませんが、実際にはレンズに付属していた「花形レンズフード(LH780-07)」を装着していました。
上述の速写ストラップを使うとカメラは右脇腹にくることになります。このときカメラの先端は死角になるのでぶつけてしまうことがよくあります。
そのためレンズ保護の意味でもレンズフードはつけておいたほうが良いです。
落下
悲劇の瞬間は突然やってきました。
置いていたカメラを持ち上げ、ストラップを斜めがけにし、撮影ポジションに移動しようとした瞬間に「ガシャン」とカメラが落下してしまいました。
運悪くコンクリートの上に落下です。
またカラビナがカメラから外れてしまったか!と思ったのですが今回は状況が違います。
なんと、カラビナがストラップの金具から抜けてしまっています!
本当はこのようにカラビナとストラップはつながっています。
しかし今回はカラビナの根本が抜けてしまい、カメラとともに落下してしまったのです。
本来は抜けるはずがない部分ですが、経年劣化でストラップ側の金具の穴が大きくなってしまったのかもしれません。
確認してみると、手の力でつけたり外したりができてしまうぐらい緩んでしまっています。
これではカメラがすぐに落ちてしまうため、もはやこのストラップは利用ができない状態ということです。
カラビナの部分の緩みは確認していましたが、まさか根本が抜けてしまうとは思いませんでした。
まったくの予想外の出来事でした。
破損状況
落下による気になる破損状況は、外観から確認できるものは次の2点です。
- レンズフードに亀裂が入る
- EOS R10のバッテリー室のフタが外れる
三脚穴にストラップを固定していることと、レンズが重いことから、ブラックラピッドの速写ストラップをカメラに取り付けるとレンズが下向きになります。
このため落下したときにどうもレンズフードが地面にぶつかったようです。この衝撃でレンズフードにヒビが入ってしまいました。
このとき、レンズフードがクッションになってくれたこともあり、レンズ自体には目視で確認できる傷・ヒビは生じませんでした。
これは本当にラッキーでした。
EOS R10にもヒビや亀裂は入りませんでした。液晶ディスプレイも無事です。ただ、バッテリー室のフタが取れてしまいました。
実際には落下によりバッテリー室のフタが取れかかってしまい、それを手で戻そうとしたら取れてしまいました。
キヤノンのカメラではバッテリーの奥には、バッテリーが飛び出すようにスプリングが存在しています。もちろん、バッテリーを装着する際には飛び出さないようにロックがかかります。
しかし、落下のような強い衝撃がかかると、ロックが外れる→バッテリーがスプリングで飛び出す→バッテリー室のフタを内側から押す→バッテリー室のフタが取れるということになるようです。
以前にEOS 60Dを落下させてしまった時もバッテリーが飛び出したことを覚えています。キヤノンのデジカメではよくある現象なのかもしれません。
この2点の破損以外は今のところ破損・故障はないようです。
オートフォーカスは効きますし、メカシャッターを使った撮影も普通にできます。EOS R10には、カメラ内でもっとも精密な動きをすると思われる「カメラ内手ブレ補正機構」がないことも、被害を抑えられた一因かもしれません。
といってもまったく影響がなかったかは断言できません。
センサークリーニング機構とかわかりにくいところに影響があるかもしれませんし、画質に何らかの影響があるかもしれません。
ともかく、カメラが機能していることにひと安心しました。
修復作業
破損してしまった「レンズフード」と「バッテリー室のフタ」を修復し、従来通り使えるようにします。
レンズフード
レンズフードはプラスチック製で割れただけなので、瞬間接着剤でくっつければなんとかなりそうです。
瞬間接着剤で固定する場合は、根元側のゴムリングを外し、はみ出さない程度に接着剤をつけて固定すればよいでしょう。
接着剤によっては乾くと白くなる物もあるので、内側にはみ出してしまうと、映り込みが心配になります。接着剤の量には注意しましょう。
ただ、オススメとしてはレンズフードを新しくしてしまうことです。レンズフードは交換部品のため、単体で購入可能です。
たとえば、私が使っていた「SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」のレンズフードは「LH780-07」という型番で入手可能です。
Amazonや楽天でも取り扱いがあります。
1600円程度で購入できるので、交換してしまったほうが楽かもしれません。
私の場合は交換用に新しいレンズフードを購入することにしました。
新しいものを購入したらあとは単に付け替えるだけで修復完了です。
バッテリー室のフタ
こちらはなかなかの重症です。
ただフタが外れただけということで、もともとあった場所に取り付ければよいのですが・・・・全然はまりません。
本体側が0.5mmでも開けばフタを差し込めそうですが、まったく開く気配はありません。となると、フタをたわませて差し込むしかないのですが、そのフタ自体が硬いためこちらもダメそうです。
正直、外れたのが不思議なくらいの硬さです。
そこで、私は力技でねじ込むのは諦め「本体側を広げて隙間を広げた状態でフタを差し込む作戦」を取ることにしました。
残念ながらEOS R10の分解情報は見つけられませんでしたが、iFixitというサイトにキヤノンカメラの分解情報が出ていることを見つけました。
EOS 70Dのマザーボード交換手順や、EOS 80Dのパーツカタログを確認すると次のようなことが想像できます。
- 外装を固定するネジは「M1.7」の可能性が高い
- バッテリー室の取付部分を広げるには底面のネジと側面(とくにバッテリー側)を外せば良さそう
調べてみると、M1.7のネジを外すには、JIS規格のNo.00かNo.000のドライバーが良いようです。今回はVESSELのTD-56Sというドライバーセットを用意しました。
海外製の精密ドライバーではJIS規格ではなくフィリップス規格になっている場合があります。
JIS規格とフィリップス規格のドライバーでは若干先端の角度が違うため、JIS規格のネジにフィリップス規格のドライバーを使うとネジの頭を舐めてしまう可能性が上がるようです。
できればJIS規格の精密ドライバーを用意しておきましょう。
また、隙間をこじ開けるためにギターピックのようなものを用意しておくと良さそうです。
これはスマートフォンの分解セットなどについてくる道具です。薄いものがあれば代替できますが、カメラ本体を傷つけないようにプラスチック製のものを用意しましょう。
道具が用意できたらまず底面の4個のネジを外します。私はJIS規格のNo.00のドライバーを使いました。
マウント側の2本がかなり硬いので、なめてしまわないように押し付けながら慎重に回しましょう。
また、ネジの長さが微妙に違うので、元の場所に戻せるように、外したネジはどこのネジだったかわかるようにしておきます。
実際に4つのネジを外したところ、マウント側の2本のほうが、ディスプレイ側の2本より少し長いネジでした。
4本のネジを外したあとに底面を広げようとすると少しだけ隙間が開くようになるので、ここに用意しておいたこじ開ける道具をねじ込み隙間を広げます。
私は不用意にもバッテリーを付けたままでやってしまいましたが、バッテリーを外した状態で作業することをオススメします。
あとはこの状態でバッテリー室のフタを差し込みます。
まだフタを差し込めない場合は、もう少し隙間を拡大するか、側面(バッテリー室側)のネジも外して隙間が広がるようにしてみましょう。
無事にフタがハマったらあとはネジを元あった場所に留めれば作業完了です。ネジはなめてしまわない程度にしっかり締めましょう。
きっとキヤノンの工場では締め付けトルクが決まっているのだと思います。
しかし、そのトルクを知る方法はありませんし、知っても精密ドライバーではトルクのコントロールもできないので、感覚でやるしかありません。
ネジ止めが完了したら、フタの開け閉めができることを確認しておきましょう。
また、カメラが電源スイッチがオンの状態で、フタを開け閉めして連動してカメラの電源状態が変わることを確認します。
キヤノンのデジタルカメラでは、電源オン中にバッテリー室のフタを開けると、強制的に電源オフになります。
バッテリー室にフタの開閉を検出するスイッチ(?)があるので、それが故障していないことをこれで確認します。
これで修復の完了です。
まとめ
今回はBLACKRAPIDのカメラストラップが壊れたことでEOS R10を落下させてしまったことを紹介しました。
被害はレンズフードとバッテリー室のフタに限定されていたため、なんとか見た目はもとに戻すことができました。あとは使い続けて異常が出ないことを祈るしかありません。
次回はカメラストラップについて検討したいと思います。
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