前回は中国聯通香港のローミング対応プリペイドSIMカードの初期設定を紹介しました。
今回はこのプリペイドSIMカードを実際に使った様子を紹介したいと思います。
使用したのは中国本土です。このプリペイドSIMカードを買う方は中国本土に行く方が多いのではないかと思います。
中国での接続状況
今回購入した中国聯通香港のプリペイドSIMカードは4G用のようです。
中国の北京ではアクティベーション後にあっさりとLTEで接続しました。
iPhoneのフィールドテストモードで確認すると、周波数(バンド)は「1」でした。
iPhoneでフィールドテストモードに入るためには「*3001#12345#*」に発信してください。
中国本土でのローミング対象であるChina UnicomはLTEにバンド1とバンド3を利用してます。
この二つのバンドについては日本で売られているスマートフォンであればほとんど対応していますので、問題なく利用できるのではないかと思います。
KDDI/AUについてはLTEバンド 3を利用していないため、KDDI/AU向けとして売られているスマートフォンはバンド3が使えない可能性があります。
このケースでもLTEバンド1は使えるので中国での利用は問題ないと思います。
通信速度
気になる通信速度を調べてみます。
測定にはSpeedtest.netというアプリを利用しました。
北京市内でアンテナピクトが全て立っているときに測定しました。
LTEにしてはイマイチな通信速度です。測定したのが日曜日の夕方5時頃と混んでいた時間帯だったせいかもしれません。
そこで観光客もまばらな北京郊外の慕田峪長城で測定したところ・・・同じぐらいでした。
13Mbps程度スピードが出ていれば実用上は問題ないとは思いますが、動画のストリーミング・大きなファイルの送受信については注意が必要です。
ちなみに北京の地下鉄内でもLTEで接続できます。しかし速度はいまいちな結果となりました。
規制対象アプリの利用
香港発行のSIMカードを中国本土で利用する最大の理由は中国のインターネット規制を回避するためです。
実際に規制対象のアプリ・サービスを使ってみるとどうであったか紹介します。
LINE
ご存じのメッセージングアプリです。LINEは中国本土では規制されていて使えません。
中国国内だと全く使えないのですが、中国聯通香港のSIMを使えば問題なく利用することができます。
スタンプ・写真・動画の送受信も可能です。
LINE通話も問題なくできました。
Gmail
メールアドレスとしてGmailを使っている方は多いと思います。このGmailも中国本土では規制対象です。
こちらも中国聯通香港のSIMを使えば利用可能です。
Googleマップ
中国では地図は国家機密として管理されています。
このため定番であるGoogle Mapは使えません。
もちろんこの規制も中国聯通香港のSIMカードを使って回避することができます。
しかし、Googleマップの利用についてはもう一つ落とし穴があります。
それは「中国国内でGPSがずれる問題」です。具体例を見た方がわかりやすいかもしれません。
紫禁城(故宮博物館)の東側の前で中国製の「百度マップ」を開いたのが下のスクリーンショットです。
正しく「東華門」の前にいることがわかります。
この場所でGoogle Mapを開くと次のようになります。
全く違う場所になってしまいました。どのように違うかを示したのが下の図です。
Google Mapでは実際の場所から500mほど西南西にずれて表示されていることがわかります。
Google Mapでも衛星写真表示するとこのずれはなくなります。
しかし、地図に地名などの情報を重畳表示させると、地名などの情報はずれた地図を元にしているため何が何だかわからなくなります。上の写真でも紫禁城のお堀の上を何本も道路が走っている様になっているためです。
このずれについては中国で採用しているGPSの座標系と、日本を含む世界で利用されているGPSの座標系が違うから起こる問題で、SIMカードの影響ではありません。
中国国内で地図アプリを使う場合は百度マップのような中国製の地図を使うしかありません。
検閲ワードの利用
中国のインターネットでは共産党の支配体制に不都合なキーワードは使えないように規制されています。
China Unicom (中国本土のキャリア)のSIMカードで「天安門事件」を検索したところ、最初は表示されたもののしばらく経って表示されなくなるという不気味な経験をしました。
この中国聯通香港のSIMでどうなるかを試してみました。
まずは近代中国のタブー「六四天安門事件」です。
無事に表示されました。しばらく経ったあとも規制されず表示させることができました。
チベットの人権問題も共産党が嫌う話題です。
問題なくダライラマのWebサイトが表示されました。
最後に「習近平」と「くまのプーさん」です。中国ではくまのプーさんの画像は消されるといいます。
そこで「習近平 プーさん 似てる」で検索すると・・・・
表示されました!
香港のSIMということで言論の自由が守られているようです。香港もかなり中国化が進んでいますが、まだ大丈夫なようです。
この禁止ワードの検索は帰国直前の飛行機の中で行いました。
現地でまねをして万が一トラブルが発生しても責任は持てませんのでご注意ください。
その他
その他の下記のような規制対象のアプリも使ってみましたが、問題なく使えました。
中国旅行をしてリアルタイムでSNSにシェアしたいという方には、このようなインターネット規制を回避できるSIMが必須ではないでしょうか。
ステータスの確認方法
このプリペイドSIMカードはデータ通信専用なので、データ残量を確認したくなると思います。
中国聯通香港のサイトを見ると
The phone calls the balance query directive (*118*33#) to reply to the text message indicating your data usage this month.
と記載されていました。
「*118*33#」を試してみると
と表示されるものの、テキストメッセージ(SMS)は送られてきません。
どうやら「*118*33#」は通話・SMSが利用できるSIMカード用で、今回購入したようなデータ通信専用の使用できないようです。
中国聯通香港のサイトでは次のように案内されています。
この記載を見ると「www.cuniq.com/ss」にアクセスして、SIMカードの台紙に書かれている19桁の数値と、PUKコードを入力すれば良いことになります。
しかし何度試しても成功しませんでした。
中国聯通香港のサイトにアカウントを作成しましたが、それもダメで、結局データ残量を確認にする方法は見つけることができませんでした。
スマートフォンがデータ量をカウントしていると思うので、それを目安にするしかないようです。
しばらく使った感想
さて中国滞在中にこの中国聯通香港のローミグ対応SIMカードを使った状況ですが、非常に快適でした。
中国というとインターネット規制が心配ですが、このプリペイドSIMカードならば日本と変わらずスマートフォンを使うことができます。
唯一の弱点はGoogle Mapの表示ずれですが、これは座標系の問題なので仕方がないところもあります。中国製の地図アプリを使って解決するしかありません。
中国滞在中に中国国外の人と連絡を取る必要がある場合は、このようなSIMカードを用意しておいた方が良いでしょう。
まとめ
今回は中国聯通香港のローミング対応SIMを実際に中国本土で利用した様子を紹介しました。
通信速度はLTEとしてはやや遅いですが、インターネット規制の影響も受けないので、非常に快適に利用することができます。
アプリ類は日本にいるのと同じように使えてとても便利なので、中国旅行者にはお勧めのプリペイドSIMカードです。
次回は話題を変えてWindowsでLinux(Debian)を動かしてみます。
コメント